02
「むつきぃぃいぃッ!!」
「のわっ!ちょ、ストップ!待て!」
玄関開けたら案の定千世が待ち構えてた。
両手に荷物なせいでタックルもろ受けなきゃいけないなんてヤダし、卵入った袋を俺が持ってるから割れたら困る。
つうか千鳥がキレる。
しゅんとした顔の千世は足元におすわりしてる。
俺が待てって言ったから。
その言葉に反応して、気持ちは抱き着きたくても体は勝手に動く。
スーパーでたっぷり時間を使って材料を買い込み、千鳥の両手にも俺の両手にもデカイ袋がぶら下がってる。
やっぱり荷物持ちに連れてくりゃ良かったのに。
「んだよ、犬」
「……」
ふと気づけば、じと…、っと千鳥を睨む大型犬。おすわりは続行中。
「なんでつれてってくれなかったの」
「うぜぇから」
あ、火花。
千鳥、返事がストレート過ぎるよ。
いくら俺と二人っきりでデートしたかったからって。
え?千鳥が言ったんだよ、デートは。
うれしいけどね。
「はい、どいてー。準備しなきゃいけないからー」
「てつだう!」
いつまでも玄関にいても寒いっつの。
「犬、これしまっとけ」
「じぶんでやってください!」
「あ゙ぁ?」
根に持ってんなぁ、千世。
俺が持ってた材料は喜んで冷蔵庫にしまい込んでんのに。可愛いヤツ。
「仕事、残ってるんでしょ?いーよ、やっとく」
「悪いな」
仕事っつっても、パソコンだから家でも出来るって言ってたし、今料理人だけど別の仕事も時々入ってくるらしいから仕方ない。
千鳥が目の前に来て、何かと思えば顎を持たれて上を向かされる。
あ、キスすんのかな。
なんとなく受け入れ体勢に入ってみる。が、なんもない。
目を開けたら、かなり間近に手。
「はやく仕事やってください!」
「……てめぇ…」
千世の手でした。
ここまで反抗的なのは初めてかも。
それほど拗ねてんだな、こいつ。
「後でシメる」
「ふんっ」
なにこの可愛らしいヤツ。
千世の手を払って、千鳥は自室に向かってった。
後でちゅーしてあげよう。
この二人拗ねると厄介だから。
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