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「……なべ?」
「そー」



 気分的にチキンステーキを食べつつ、ぽつりと最近考えてた事を零してみた。
 千世は隣でハンバーグ頬張ってる。
 リスか。犬だけど。

 じゃなくて。



「暖かいもんが恋しい季節になってきたじゃん?」
「いや、…別に鍋を否定してんじゃねぇ」
「え、じゃあなに」



 ライスとバランス良く食べ進めて。
 ちなみに千鳥はオムライス。
 ふわとろ卵がいいよねぇ。俺は千鳥が作ったオムライスが好きだけど。



「何でわざわざあいつらと鍋囲まなきゃなんねぇんだよ」
「えー?」



 いーじゃーん。
 楽しそうじゃね?
 たまには大勢で鍋とかさ。



「ぜってぇうぜぇ」
「はっはっはっ」



 千鳥の本音を否定出来ないのはさておき。良いと思うんだけどな、仲良くしてるメンツと鍋。

 特に【四神】と『RAIN』の五人の絡みとか面白そうじゃんね。


 俺が提案した鍋パーティーのメンツ。
 『tutelary』の【四神】と焔紀、『RAIN』の中心五人。
 え、【狂犬】?
 呼んでも良いんだけど、楽しそうだけど、メンバー的に色々カオスになりそうだから、あの人ついていけない気がするんだよねぇ。



「ねー、…ダメ?」
「……、俺が許すくらいの可愛いねだり方しろよ」
「………」



 一瞬揺らいだくせに。
 つうかこんな場所で言っちゃう?言っちゃっていいのか?
 一応プライドあんだけど。あえてか。あえて言わせようとしてんのか、このS属性が。
 分かってたよ、予想してた。場所考えりゃよかったよ。
 今言わなきゃ絶対許可してくんなそう。


 むっと考えながら、食べかけのチキンステーキを見つめる。

 きっと向かいじゃ悪戯っ子な笑顔の千鳥が待ち構えてるはず。
 でも鍋やりたい。
 一度やりたくなったらやんなきゃ気が済まないっつうか、根に持つからな。
 どうする。どうする俺。
 俺はやればできる男だぜ…!


 かちゃ、と持っていたナイフとフォークを置いて顔を上げる。
 やっぱりイイ笑顔の千鳥がいた。

 指を交差で握って、願い事するみたいに顔の前にやって。
 悲しげな上目遣いになってるかは分からないけど、若干顔を伏せて千鳥と眼を合わせた。

 あ、なんか眼が変わったんだけど。



「───お願い、お兄ちゃん…一緒に楽しい事しよ……?」



……とりあえず俺気持ち悪い。



 


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あきゅろす。
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