13
「……なべ?」
「そー」
気分的にチキンステーキを食べつつ、ぽつりと最近考えてた事を零してみた。
千世は隣でハンバーグ頬張ってる。
リスか。犬だけど。
じゃなくて。
「暖かいもんが恋しい季節になってきたじゃん?」
「いや、…別に鍋を否定してんじゃねぇ」
「え、じゃあなに」
ライスとバランス良く食べ進めて。
ちなみに千鳥はオムライス。
ふわとろ卵がいいよねぇ。俺は千鳥が作ったオムライスが好きだけど。
「何でわざわざあいつらと鍋囲まなきゃなんねぇんだよ」
「えー?」
いーじゃーん。
楽しそうじゃね?
たまには大勢で鍋とかさ。
「ぜってぇうぜぇ」
「はっはっはっ」
千鳥の本音を否定出来ないのはさておき。良いと思うんだけどな、仲良くしてるメンツと鍋。
特に【四神】と『RAIN』の五人の絡みとか面白そうじゃんね。
俺が提案した鍋パーティーのメンツ。
『tutelary』の【四神】と焔紀、『RAIN』の中心五人。
え、【狂犬】?
呼んでも良いんだけど、楽しそうだけど、メンバー的に色々カオスになりそうだから、あの人ついていけない気がするんだよねぇ。
「ねー、…ダメ?」
「……、俺が許すくらいの可愛いねだり方しろよ」
「………」
一瞬揺らいだくせに。
つうかこんな場所で言っちゃう?言っちゃっていいのか?
一応プライドあんだけど。あえてか。あえて言わせようとしてんのか、このS属性が。
分かってたよ、予想してた。場所考えりゃよかったよ。
今言わなきゃ絶対許可してくんなそう。
むっと考えながら、食べかけのチキンステーキを見つめる。
きっと向かいじゃ悪戯っ子な笑顔の千鳥が待ち構えてるはず。
でも鍋やりたい。
一度やりたくなったらやんなきゃ気が済まないっつうか、根に持つからな。
どうする。どうする俺。
俺はやればできる男だぜ…!
かちゃ、と持っていたナイフとフォークを置いて顔を上げる。
やっぱりイイ笑顔の千鳥がいた。
指を交差で握って、願い事するみたいに顔の前にやって。
悲しげな上目遣いになってるかは分からないけど、若干顔を伏せて千鳥と眼を合わせた。
あ、なんか眼が変わったんだけど。
「───お願い、お兄ちゃん…一緒に楽しい事しよ……?」
……とりあえず俺気持ち悪い。
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