12
翌朝、またもや8時に起床。
なんだろうこれ、もう気にするのやめよ。とりあえず仮眠室を出たら、清水さんがソファーに座ってコーヒーを飲んでた。
「…あ、おはようございます」
「ああ、おはよう。眠れたみたいだな」
「おかげさまで」
頭をかきながら向かいに座れば、温かいお茶を貰った。ここに来て二日目だけど、なんか慣れるのが早い気がする。
一息ついてから、清水さんが話し出した。
結果は俺が殺した長男が犯人で、俺の行動は正当防衛になるらしく。
部屋は綺麗に掃除されてお昼頃には私物を届けてくれるんだとか。店長と一緒に住む事になるわけだから、部屋は引き払うというか解約というかそういう手続きをしなきゃいけない。
やることはそれなりにあるけど、清水さんが協力してくれるみたいで安心した。
まあ私物っつっても必要なものとか殆どないとは思うけど、まあ届いてから仕分けだな。
お茶を飲みながらそんな事を考えて、店長にメール入れなきゃなあ、とかお昼までなにしてようかな、とか考えていたら。
時間あるから署内を見て回ったらいいよ、なんて清水さんが言ってくれたもんだから、お言葉に甘えて署内を見て回ることにした。
*
───睦月が時間潰しに署内を散策しているその頃、喫茶店『R』の店内で店長である知草蓮は白い煙草の煙を吐き出しながら、今日のシフトを思い出していた。
カウンターの後ろ、奥の部屋に繋がる段差に座り込み、ちらりと店内を見れば使用済の皿を洗う金髪ポニーテールの不良、泉神楽が立っている。
先程、常連客が会計を済ませ店を出ていって店内は従業員だけになっている。
趣味ではじめた喫茶店だが、緩やかに流れる時間は嫌いじゃなくてそのまま緩やかに続けていたら少しずつ客が来るようになった店。
一般的に目を引く容姿を持つ、性格が色々と歪んでる従業員が増えた。
奥の席で使用済の食器を片している最初にここに来た古株の従業員、日向千春の後ろ姿を一瞥し煙草を加えて立ち上がる。
「奥にいっから、」
「りょーかいっす」
泉にひと声かけ、蓮は奥の部屋へと消えた。
カウンターの向こう、食器を乗せたトレーを持った千春は泉に食器を渡し、客がいなくなったのでカウンターの椅子に座る。
少し経つと、嗅ぎ慣れたコーヒーのにおいがして泉が千春にコーヒーカップを差し出していた。
「ありがとう」
「いいえ」
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