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「ってなわけで、ハイ!ケーキでも食って、気分入れ替え!」
俺が誰かを元気付ける事なんて、そうそうないんだから。
「───っ、はい!」
だから、そうやって素直に受け取っといてよ。
「………お前、」
「話しはあとー」
はい邪魔ー、とか言いながら泉をどかして、泉が立っていた場所の冷蔵庫から残ったケーキを取り出した。
そんな時間経ってないから大丈夫。
「わ!可愛い!うまそうっ」
切り替えが早いのか、もういつもの明るさに戻った諒くん。
通常がどんなんだか知らないけど。
ここに来てるトキの雰囲気に戻ったってことで。
今日のケーキは残りモノだけど。
丸型に焼いたワッフルの上にカスタードクリームと生クリームを絞って、数種類のカットフルーツを乗せて、薄くまた二種のクリームを絞って、同じ形のワッフルで挟む。
粉砂糖をまぶしてホイップクリームを少し絞って、その上に苺と桜桃のカットしたやつとミントを飾って出来上がり。
キラキラした目の諒くんが可愛いよ。
ケーキに合う紅茶に入れ直して、カウンター、諒くんの目の前に置く。
俺が持ち上げて目の前に来てから、諒くんの視線はケーキだったから首が一緒に動いてた。
「………ワッフル、好きです」
「そりゃよかった。どーぞ」
こくりと頷いた諒くんは、そろそろとフォークを取る。
食べるまでの動作を見るのが結構好きだったりする。面白いじゃん。
「いただきます!」
「はい」
じっくりケーキを見つめてから、俺の顔を見て元気よく言ってくれました。
可愛いなあ。
「………、……んん…いははへふ」
どうやら癒されてるらしい。
もごもご言ってるけど、なんとなく分かっちゃった。
ホンット、甘いもの好きだよなぁ。
誰かさんみたい。
「今日は突然相談しちゃって、すんませんした」
「よいよーたいしたことしてないし」
レジ前で、紅茶代だけ清算してから立ち話。
「いや、マジで助かりました。ありがとうございます!」
「どーいたましてー」
「あと、ケーキご馳走様です!」
「美味しそうに食べてくれてありがとーございますー」
「…えへへ」
なんやかんや軽く会話してから、手を振って諒くんは店を後にした。
青春だねぇ。
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