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「つーかその人と俺、なにが似てんのさ」
「だーらわっかんねぇっつの。気にすんな忘れろ聞き流せ!」
「ナニソレ……」
「なんで話したのかすらわかんねぇんだよ、だから聞かなかった事にしとけ!」
「ハイハイ」



 体ごと振り返って必死になってる泉に適当に返事してコーヒーを出し、ちょい落ち着け、なんて言ってやった。
 お礼の一言を聞き、コーヒーを飲む。


 ふむ。
 ふむふむふむ。
 そんなことあったなあ。

 中学生でも美形でまだ可愛さの残ってた泉を思い出した。
 今じゃもう、こんな悪人面になっちゃって。写真撮っとけばよかったかしら。
 なーんて。



「…はー、マジなに言ってんだ俺。お前みたいなひ弱そうなヤツがアイツなわけねぇよなぁ……」



 言いながらタオルを持ってテーブルを拭きに行った泉の背中を見る。

 え、なに最後の。喧嘩売ってんの?
 言い逃げかコラ。
 悪かったなひ弱そうで。
 今よりひ弱な俺に助けられたクセに!
 ばーかばーか!

 …って、なにムキになってんだ俺。





 - ちりん



 鈴の音がして見遣れば、そこには。



「───あ、いらっしゃい」
「どうも」



 久しぶりな仁科諒くんが制服姿でご来店。なんか雰囲気が暗いぞ。



「どったの」
「いや、あのーちょっと…」



 なになに、気になる。
 諒くんがよく頼む紅茶を入れつつ首を傾げる。珍しいな。



「はい、どーぞ」
「ありがとうございます」



 若干ほわっとした笑顔になって、マジ美味そうに飲むよこの子。



「ゆっくりでいーよ」
「ハイ……」



 なにやらマジで悩んでるな。
 なんかあったのか?

 いつもならすぐさまケーキ頼むのに。
 ちなみに試作だから基本無料で。え?特別特別。作り甲斐があるんだもん。

 じっとコップを見つめる諒くんを見つめてる俺。泉は気にせず掃除してる。


 あ、今日ケーキ残ってたな確か。
 さっきのお客さんの分で余計に作っちゃったんだよなぁ。なんて考えてたら。



「あの、」
「うん?」



 顔を上げて不安そうな表情の諒くんが、ゆっくり口を開いた。



「悩み事があって…相談したいんです」


 


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