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05
 



 別に蓮さんに気を使ってるわけじゃない。世話になっといて、すんなり移住とかっていうのもまあ蓮さんは止めやしない。
 ただ自分自身気が引けているのかもしれない。


 バイトの面接した時も、受かった後も、結構がっつり迷惑かけたような気がしなくもない。
 迷惑っつーか、なんつうか。
 とにかく移住する事に関しては、蓮さんも予想してそうだし。



「お前はしばらく引きこもりしてろよ」
「へ?」



 なにを言うのかと思えば。
 引きこもりて。



「なんで?」
「心配だから」
「………」
「オレもしんぱいしてるよ!」



 ……。
 千鳥はともかく。
 お前は心配っつか、いや心配もしてくれてんだろうけど四六時中一緒にいたい気持ちの方が強いと俺は思うんだけど。



「とにかく。このまま悪化したり治りそうにないなら俺は言いに行くぜ」
「…いや、その時は自分で言うよ」



 自分自身のことだから、と言ってから紅茶を飲んだ。
 やっぱ千鳥の家にある紅茶は美味い。

 ここに来る前よりは幾分落ち着いて、ほぅ、と息を吐いた。
 ぽん、と頭に千鳥の手が乗った。



「なあに?」



 聞いても、無言。なんだなんだ気になる。
 と思えば、ぐりぐりと頭を撫で回された。



「髪の毛、切るか?」
「ん?…ぁー、まだいいよ。なんか新鮮だから結んどく」
「どうせなら二つ結びしとくか?」
「結構デス」



 確かに二つ結び出来るくらい伸びたけど!さすがにそれはないって。

 千鳥にヘアゴムを貰い、何年もしなかった一つ結びにする。
 最後に結べるまで伸ばしたのは中学ん時だったなぁ。
 校則?んなもん知らん。
 あって無いようなもんだ、あれは。



「睦月、かわいい」
「え、一つ結びが?」



 どんだけ。


 戯れてくる千世と千鳥に挟まれて、心が癒されてくのを感じた。
 ほんわり、って温まるカンジ。

 たぶん、俺の中では答えが決まっているんだろうな、と思った。
 それを確信にしなかったのは、やっぱりどこかで躊躇いがあるんだと。
 あるもんはある。ないもんはない。

 それだけだ。


 


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あきゅろす。
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