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04
 



 携帯を開くと、不在着信一件の表示。



「……ん?」



 千鳥からだ。なんだろ。

 時間があまり経ってなかったから、すぐにかけ直した。













「───睦月ぃ!!」
「ぉふ…っ」



 ちょ、おま、最近タックル強くない?
 イラッとしたけど、ぎゅうぎゅう抱き着く大型犬の必死さに思わず苦笑い。

 現在、千鳥の家。一週間振りだ。


 電話の内容は、珍しく平日なのに仕事が休みらしい千鳥が会いに来いとか言ったから、ついつい即答したわけで。

 最近の夢見のせいであんま考えてなかった。



「睦月、ぐあい悪い?」
「……うん?なんで?」



 抱き着いてる状態で見上げてくる上目遣い、キタ。その図体でなんでそんな可愛いんだお前は。

 てか。
 やはりというか流石、ご主人第一の犬だからか抱き着く前に気づいたんだろう。
 具合は悪くないけどね。



「またか」



 大型犬を引きずりながら、やっとソファーに座れて一息ついたら千鳥が紅茶を入れたカップを寄越しながら言った。

 カップを受け取って、ゆらぐ湯気を見つめる。



「最近夢見悪くてさぁ」



 へらり。
 いやぁ、参ったよねぇ、なんて笑いながら言ってみた。
 が。



「お前、やっぱここに戻れ」



 真面目な顔で、千鳥に返された。
 へらへら顔が無意識に引っ込んで素になる。



「……考え中」
「ここにいる間は治ってただろ」
「まあ、ね」



 確かに、家出してここに住んでた時期は不眠症は治ってた。
 寝付きも良かったし、十分眠れた。
 熟睡は出来なかったけど。でも寝不足ではなかった。

 それは、ここが一番落ち着ける場所になったという何よりの証拠で。
 不安定さもなかったし、比較的安定した状態になってた。


 蓮さんの家に住む事に承知したのを、後悔してるわけじゃない。あの時はあの時で色々不安定だったし、なんて言い訳してみたりして。



「オレ、睦月と一緒に寝たい」



 抱き着くのをやめて大人しく隣で座ってた千世が、ぎゅっと俺の手を握る。

 寂しそうな顔が可愛い、とか思う俺はかなり場違いだ。


 


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あきゅろす。
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