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07
 


 てことは、千春先輩も泉も知ってるってことか。あのメールを知ってるのか。
 え、ちょ、待って待って。
 怖いんだけど。
 千春先輩が特に怖いんだけど!
 俺どうなるの。どうなっちゃうの俺。
 大事な事なので2回言いました。


 冷や汗かきそうな雰囲気の中で、泉が入って行った奥から聞き慣れた声が聞こえた。



「───なに、昨日といい今日といい、マジなんなんすか、ねえ、何考えてんすか」
「っせえな駄犬。決定事項だ。文句あンなら減給にすんぞコラ」
「え、ちょ、まさかの減給!?」



 泉が半ギレだ。なぜに。
 店長の声は怠そうで、けど愉快そうだ。いつも怠そうだけど。
 人の不幸とか鼻で笑うような人だけど。
 悪魔とかじゃなくて、もはや魔王だ。因みに店長が言う『駄犬』は、店長がつけた泉のあだ名。犬みたいだから、らしい。
 実際、泉を拾ったらしいし。


 奥の部屋へと続く仕切りとして付けた布が揺れて、店長と泉が姿を現した。
 横で清水さんと新人山田が硬直するのを見る。そりゃあそうだ。
 初めて見た人は、大抵硬直するのだ。

 怠そうだけど綺麗に通るアルト、加え煙草が更に際立たせているような容姿。
 長い脚、服の上からでは分からないけど、まくった袖から露出している腕は筋肉が程よくついていて。切れ長の目、左側だけ若干目が隠れる程長い前髪、綺麗なグレーの髪色。


 髪の毛の先から足の指先まで全てが完璧といえる程の容姿を持った、この喫茶店の店長、知草蓮。
 怠そうでもその存在感がしっかりと表れる雰囲気、まさに超美男とはこのこと。


 ふと、あの人を思い出した。
 あの人も、めちゃくちゃ美形だな。
 本当、見た目が完璧。性格はちょっとアレだけど。





 因みに泉はこの店の従業員で1番背が高くて、長い金髪を常にポニーテールにしてる。そんな泉も脚が長くて、よくある雑誌のメンズモデルよりもカッコイイ。


 朔也先輩は、黒髪で短く結える程度の長さでたまにひとつ結びにしてて、そのたまにするひとつ結びがまた格好よさを際立たせてるというか、俺はその状態の朔也先輩に未だにドキッとする。


 美形揃いの喫茶店で、なんで俺みたいな平凡が採用されたのかは知らないが、そんな事を呟くといつもみんなにため息を吐かれるから今はもう言うのやめた。
 話逸れた。


 店長の後ろから出てきた泉は、何故か顔が不服そうだ。
 朔也先輩は無表情でコーヒーを淹れてる。これはもう朔也先輩の癖であり、店長がコーヒーを頼むのが朔也先輩だからだ。



「なんだ、お前随分スッキリした顔してンな」
「いや、肩の荷がおりたような感じはしてますけど、」



 すっきりしたかどうかはわかんないけど、店長から見たらそんな重そうだったのかな。


 店長は俺の横に座る二人を一瞥してすぐに俺を見る。
 朔也先輩が淹れたコーヒーを飲みながら壁に寄り掛かり、一息。



「……で、あんた達は?」



 絶対刑事さんだって分かってて聞いてるよこの人。誰とか聞いてるわけじゃない気がするけど、なんか雰囲気が怖いです。


 


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あきゅろす。
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