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06
 



「───いらっしゃ、ってお前、なに、もういいのかよ?」



 開けてびっくり、見てびっくり。なんだ今日は泉ちゃんだったか。


 店長から聞いたんだろうな。
 泉は洗い物をし終えて、皿を拭いてた。
 見た目怖面の不良で美形の、泉 神楽。
 この喫茶店は俺のバイト先であり、泉は同い年の従業員。でも先輩。


 俺の後ろの二人に気付いた泉が、すっと目を細めた。慌てて説明しようと声を出す。



「あ。あのさ、この人達は、!?」



 言い終わる前に頭に手が落ちてきて、びくっと肩が上がる。
 くすりと頭上から笑い声。
 目を向ければ、あらびっくり。



「元気そうだな、睦月」



 気配もなく立っていたのは、黒髪でシルバーフレームのメガネが知的なこれまた美形な青年。
 イイ笑顔なのに怖いです、センパイ。


 メニュー表を脇に抱えた美男は、皆川朔也先輩。たまにしか見せない笑顔がカッコイイ。
 てか、後ろの二人は眼中にないんすね。
 ん?てことは今日、千春さん休みかな。

 なんて思ったら。



「千春センパイも出勤してるぜ」
「……そーっすか」



 あっさり心読まれた。泉の野郎、エスパーか。
 プライバシーはどうした、プライバシー。
 え、つかもしかして、まさかのオールメンバー?



「…店長は?」



 とりあえずカウンター席に座り、棒立ち状態だった清水さんと新人山田くんもカウンター席へと誘う。
 朔也先輩が出してくれたお茶を一口。



「店長なら、奥で何かしてたが」



 メニュー表を持ったまま、朔也先輩が答える。目の端で泉が奥の部屋へと消えていくのを見た。
 多分、店長を呼びに行ったんだろう。


 片手をカウンターについて、左手を腰エプロンのポケットに入れた恰好で朔也先輩は素敵な笑みを浮かべてる。
 そんな恰好もカッコイイですね。



「…お前、クビになるんじゃないかとか思ったのか」
「え、なんでそれ、」
「蓮さんが言ってた」
「…ええぇー…」



 ナニソレ。
 あの人なに言っちゃってんの。

 ちなみに「蓮さん」とは店長で、知草蓮という名前負けしてない超絶美男だ。
 俺はあの人を初めて見た時、今まで生きてきて久しぶりにこんな美男がいるのかと思ったりした。



「それに、」
「ぅえ?」



 伏せた目が、ぎらりと殺意を抱いた気がしてどきりとする。
 ……ま、さ、か。



「『店長あいしてる』とか送ったらしいな。ハートマークまで付けて」
「…………えーと、」



 あの殺意は店長にだ。
 絶対店長だ。
 なんで知ってるんだ。

 にやにやしながら先輩達にメール内容を勝ち誇ったように言う店長が思い浮かんで、畜生、言わなきゃ良かったと後悔した。
 だって殺意がマジだ。こええー。


 


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あきゅろす。
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