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07
 


 ───シンプルな名前の喫茶店から人通りの多い道に出れば、行き交う人は必ずその集団を見遣りすれ違う人は振り返る。
 振り向いて見たその集団に、同じように振り返る者は誰もいないのだが。



「あー…めんどくさ」
「仕方ないでしょう」



 面倒臭いと呟いた、ひときわ目立つ桃色の髪を結い上げている制服姿の美形。
 口端から飛び出た白く細い棒を左右に忙しく動かしながら、怠そうに歩いている。

 その横で、セミロングくらいのライトブラウンの髪を風に靡かせた同じ制服姿の美人が、呆れたように返した。
 しかし気品のある雰囲気を持っている。

 その後ろで瓜二つの外見、容姿端麗な髪色の異なる二人が並び、その横に飛び抜けて長身な黒い短髪に金のメッシュを入れたこれまた端麗な、明らかに不良という容姿の美形が並ぶ。


 目を見張る程の容姿を持ち合わせた五人はタイプは違えと美形であり、そして近寄りがたい雰囲気を持っている。
 行き交う人々は皆、雑誌のモデルか撮影か、いやでも見たことないなど好き勝手声を出し、しかし近寄る者はいない。

 彼等は先程、二年前に姿を消した人物に会いに行っていた。
 名門私立東ヶ丘学園高校の生徒会役員であり、『tutelary』の傘下チーム内でトップに立つ『RAIN』のメンバーである。




「「あのおバカさんたちは僕らに勝てると思ってんのかなー」」



 けらけらと悪戯っ子のように笑う、綺麗に重なる声の双子。



「無理だろ」



 表情を変えずに返したのは、隣で歩く鳥羽翔太郎である。
 本人は翔太郎という名前をフルで呼ばれるのを嫌い呼ばれるとキレる。
 唯一傷害なしに呼べるのは、先程喫茶店へ会いに行った【黒猫】もとい時任睦月と、常に共に行動している幼なじみ四人だけである。


 五人は物騒な内容を特に表情を変えずにテンポ良く会話し、そして目的地へとただ歩いた。



 挑戦状を突き出したのは相手側であって、先攻してきたのも相手側。
 聞いたことのない団体名に在り来りな喋り方、内容、態度。
 今五人が知っている相手側の情報は全て双子が集めてきたもの。



「最近暴れてなかったからなぁ」



 カラコロ、と口の中の飴を転がし飛び出る棒を指で掴む事もせず遊ぶ八月一日慧は、にんまりと笑みを浮かべた。


 


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あきゅろす。
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