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「前からうざかったんだよね」
「親衛隊に入らないくせに泉様の周りウロウロしてさあ」
「ちょっと可愛いからって、迷惑なのわからない?」
「集団じゃないと何もできないあんたらとは違うんだよ!好きだから近付きたいのは当たり前だろっ」



 おおう、辛辣。
 しかも泉関係とか。ここまで来て、縁があるねー。

 校舎裏、小柄な男子が三人に囲まれて一人。
 見る限りで中央の生徒には劣るが美少女のような可愛さ。嫉みか。負けてない中央の生徒もかなり強気だ。



「そうやって強気でいられるのも今のうちだよ」
「…え?」
「来て」



 一人の合図に、がさり、と向こうの茂みから体格のいい男が五人出てきた。
 予想してなかったのか後退る中央の生徒。



「好きなだけやっちゃってよ」
「ついでに欲求不満も満たしてあげれば?」



 クスクス笑う三人。
 ゲラゲラ笑う五人。
 吐き気がするほど虫酸が走る。
 自分以外の武力を使うなんて、最低ねー。本人同士の喧嘩なら文句ないけど、明らかに体格も力も優位な相手を呼んでるのはねえ。



「さっさとやっちゃえ」
「記念にムービー撮ってあげるよ」



 んで高みの見物か。
 そんな権利無いのにね。



「悪いなぁ。そーゆーことで」
「恨むなら自分の甘さを恨めや」
「楽しませてやるからさ」



 下品な笑い。きもいきもい。
 不細工がやるといやらしい笑いってかなりきもいよね。美形がやるから絵になるのに。俺の足元と背後に居る人たちとか。

 ジリジリ、と歩み寄られて五人に囲まれてく。中央の生徒はやっぱり危機感いっぱいらしくて後退していく。


 え、俺?
 覗いてるだけだよ。バレてないバレてない。大丈夫だって。


 標的の生徒の腕を五人の中のリーダー的奴が掴んで、息を飲む様子までばっちり見えた。



「───お前ら、なにやってんだ?」



 きゃあ!王子!なんつって。
 いやー、ナイスタイミングだ。



「!…ッ、あの、」
「泉様…!」



 言い逃れ?無理無理。
 一人がビデオカメラ構えてる三人と、襲ってますよって雰囲気な五人。
 真っ青な顔して泣き出しそうな一人。

 さて、どうする。
 堪え切れなくて口端上がりっ放しだよ。


 


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