17
「いただきまーす」
「まーす」
校舎裏、花壇に失礼してから三人並んで座ってます。
ちなみに俺真ん中。サンドイッチ好きだね。気にしないけど。
千鳥は初っ端、お好み焼き食べてる。
俺も食べたいなあ、なんてじっと熱視線をお好み焼きに向けてたら千鳥が気付いてふっと笑う。
いやだ、カッコイイんですけど。
「食うか?」
「食う!」
一口サイズに切ってくれる千鳥は優しい過ぎて蕩けちゃう。
そのまま箸で掴んで差し出してくる辺り、あーんしろってか。
「ほら、あーん」
「あー…、ん」
まさか千鳥の口からその言葉が聞けるとは思わなかったけど、いざ聞くと甘すぎてヤバいんですけど。
「んま」
いやあ、やっぱレベル高いわ。
うん、普通にうまい。
千鳥も文句ないみたいだし。
まあ、料理人としてこういうモンにとやかく文句言うような人間じゃないけどね。
右隣を見れば、口いっぱいに焼きそばを頬張ってる千世と目が合った。口を膨らませたまま、にかっと笑う千世にきゅんとしたよ。
穏やかなこの雰囲気が好き。
心地好いよ、この二人といたら。
幸せを感じるんだ。
「ベビーカステラ好きとか、本当可愛いよね」
「悪いか」
「べつにー」
その可愛さを俺にしか見せないなんてさ。
もさもさと一口大のベビーカステラをひたすら食べてる千鳥が、なんかもうその絵が凶器だと思うよ。
1番多いやつ買ったけど、ひとりで食べちゃうんじゃないのってくらい好きらしいから。可愛いよね。
ご飯終わったら、ふらふらしよう。
いつか泉のクラスの出し物に遭遇するかもしれないし。
校舎裏の、校庭側と反対続く校舎の曲がり角にちらっと見えた数人を視界にとらえ、俺は口元を緩めたままラムネを飲んだ。
全員制服だったなあ。
みんなチワワみたいなやつ。チワワ率高くない?
きゃんきゃん喚くのは構わないけど、つまんなかったら嫌だなあ。四人くらい居たけどひとりだけ雰囲気が違うように見えた。
「好きだよな、おまえ」
「ぅへ?」
「ああいういざこざ」
千鳥がベビーカステラくわえながら、呆れたような笑顔。
千世は俺が気付く前に気付いてるんだろうけど。利口な犬だね。
確かに好きだよ。
嫉妬が巻き起こす行動を見るのは。
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