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03
 



「───…夏休みに、四人で、軽井沢?」
「ロボットみたいだね」



 話を聞いた後に瀬戸が溢した言葉にこれでもかと軽蔑した声で蒼司が突っ掛かったものの、流石に慣れたのか瀬戸は「そりゃそうなるわ」と平然な様子で返した。



「費用は気にしなくて良い。移動もこっちで車を出すから」
「え、馨先輩って車持ってんの」
「ああ、18になってすぐ免許を取ってな。車はその祝いにお下がりを親がくれた」



 18になってすぐ取るって、かなり忙しかったはずなのに流石スペック高いだけあるわ。
 免許を取って一年経ったらしいが、この人の事だからもう手慣れてそう。運転の不安がまったくない。



「俺は問題ないけど、瀬戸は大丈夫そう?」
「日程早めに伝えてくれたら、」
「そうか! ありがとう、決まったらすぐに連絡を入れよう」



 瀬戸の返事で一気に明るく喜びを露にした先輩に、初めて見た子供っぽさを感じて笑みが浮かぶ。



「、というか軽井沢に別荘って如何にも金持ちみたいだよな」
「そうか? まあ別荘というか昔住んでいた家だ。湖も山も近いし、俺は気に入っているんだが親が不便だからと今の家に引っ越して、勿体ないから貰った」
「もら…っ、スケールっつーか住む世界が違うわー…」



 家を貰うって。
 しかも引っ越したのは高校生になる前らしい。意味わからん。
 金持ち凄い、金持ち恐い、と温くなった紅茶と一緒にそんな感想を飲み込んだ。



「敷地内の管理は問題ないし、いい所だぞ」
「ふぇー、軽井沢かー…塩沢湖?ってどのへん?」
「軽井沢周辺を囲ったら大体中央辺りだな」
「うわぁ、地価高そう」
「そこら辺は分からんが、まあ、外観と敷地考えたらそれなりにするだろうな」



 あっさり言われてしまって、馨先輩のというか五十鈴家の生活水準がかなり高いのだという事を思い知った。
 馨先輩個人としか関わりないから深く考えなかったし、本人のイメージが如何せん残念な美形でヘタレで恋愛初心者丸出しで───まあ兎に角、慣れ親しんで身近に感じ過ぎていたのかもしれない。
 裕福なのは分かっていてもあまり実感が無かったからか、こういう話を聞くとやはり肝が潰れる。


 とりあえずは夏休みに軽井沢へ旅行という事で、追い追い予定を決めようという話で落ち着いた。

 瀬戸が職務に戻ってから、手をつけられずにいた昼食を味わいつつ世間話で穏やかな時間を過ごした。
 その時間の中でなんとなく、蒼司がしかめ面なのは馨先輩の外見や雰囲気などの変化とか色々と関係しているような気がした。



 


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あきゅろす。
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