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02
 


 今日は馨先輩からの呼び出しで常連と化した喫茶店【R】に集まり、昼食も兼ねて何やら話があるのだとか。因みに蒼司は先輩に引っ張られて来ました。
 一応仕事中の瀬戸はさっさと他の作業に向かって、観察していたいが先輩の方に向き直る。



「で、馨先輩のお話は?」
「ああ、その事なんだが、」



 お気に入りらしいBLTサンドと一緒に付いてきたコンソメスープをスプーンで掬っていた先輩は、まるで近場のモールへショッピングでもしないかとでもいう風に言った。



「今度の連休───夏休みになるか。四人で軽井沢に行かないか」
「あー、軽井沢は夏って感じするー…んぇ?」



 避暑地として有名な聞き慣れた地名に、行ったことないなぁなんて思いながら軽く返した後、遅れて自分の耳を疑った。



「今なんて?もっかい」
「夏休みに四人で軽井沢に行かないか。 …別荘が塩沢湖の近くにあってな、日頃の礼も兼ねて…まあ、慰労旅行みたいなものか。三日四日程度を考えているんだが」



 厳しいか?と首を傾げた先輩に返せる言葉が出てこなくて、何度か瞬きをしてから蒼司を見た。
 しかめ面である。馨先輩と居る時の表情って最近それがデフォルトだけど、大丈夫なのかこいつら。先月だか話し合いさせた時にちゃんと聞いたし…え、ちゃんと付き合ってますよね?
 じゃなくて。



「蒼司、知ってたの」
「まあ……、どうしても何かしたいって言うし、物資じゃ納得というか満足出来ないんだってさ」



 背凭れに体重をかけながら言う蒼司の言葉を聞いて、少し躊躇いがちな表情の馨先輩に視線を戻す。



「……受験もバイトもあって忙しい事は分かっているんだが、夏休み位しか無くて。無理ならそれで良いんだ」
「いや無理ではないよ。急で驚きはしたけども」



 俺の言葉に安堵した様子の先輩を見て、本当に表情とか声色とが人並みで豊かになったなぁと改めて思う。蒼司が絡んだら不機嫌だったり拗ねると関わり始めの頃みたいになるけど。
 とりあえず俺は旅行に関して何も気に病む事はないが。



「俺は良いけど、」
「瀬戸君は諒が行くならついてくるでしょ」
「いやうん、まあ、そうだろうけど、一応な」



 聞いてみないと、と言いつつ近くを通った瀬戸を手招いて近くに寄ってきたその腕に触れる。



「どうした」
「うん、ちょっと話があるんだけど、休憩っていつ?」
「暇だから今で良い」
「はっきり言ったなー」



 

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