短編集(~2019)
10
目の前には、都会のビルやらタワー、マンションやアパートなどが広がっていた。
ショーウインドーみたいに、綺麗な窓が広く長く外の世界との仕切りを作り。
何畳あるか分からないくらいの広いスペースに、ゆったりと置かれた家具。
左側には、六人が余裕で座れそうなダイニングテーブルとイス、その奥には広いキッチン。
綺麗な食器棚には、数々の食器がこれまた綺麗に並べられている。
間をおいて右側にはデカイ薄型テレビに、ふかふかしていそうな長いソファーの前にはテーブル。
ソファーの横にある小さい丸テーブルにはランプ。
それらの家具は全てがアンティーク調で、大人な雰囲気のその部屋は、まるで。
豪邸。
その一言以外で説明出来る言葉を教えて欲しいくらい、目を見張る部屋だった。
三門さんは右に行き、違う部屋に入る。
そこに扉はなくて、開ける必要はない。
寝室らしく、キングサイズのベッドがひとつと、奥の窓側に小さいテーブルとソファー、あとは備え付けの扉だけ見てもこれまた広そうなクローゼットがある。
ぼすん、とベッドに下ろされる。
制服は汚れてるのに躊躇がない。
「ちょっと待ってろ」
三門さんは俺の頭をひと撫ですると、部屋を出て行った。
取り残された俺は、寝かされた状態のままきょろりと辺りを見回した。
広い。
広過ぎるわけじゃないけど、俺からすれば寝室にしては広い。
体が沈み込む程のベッドがあまりに気持ち良くて、俺は目を閉じてそのまま眠りの世界へ落ちて行った。
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