短編集(~2019)
02
二年間通っている学校の慣れ親しんだ教室へ入れば。
ある者は黄色い声を。
ある者は挨拶を。
ある者は俺が入って来た事すら気付かず。
そしてある者は、
「おっはよーう!」
「……っぐふ、」
朝からきらっきらした目をして、ふわふわな茶色い髪の毛を靡かせて、女の子みたいな顔をしたそいつ。
慣れたとか言っても、小さいくせに衝撃の強いタックルを毎朝かましてくるそいつ。
「あのね、ユタ、この間、でっかい駄菓子屋さん見つけたんだ!」
きゅるん。
そんな効果音すら聞こえた気がするほど、この男子ばっかりの学園内でも上位につく、美少年の顔が迫ってくる。
ユタは俺の名前。
佑太ってのが本名であるが、なぜか母親までもがユタと呼ぶ。
名前としてどうなの、とかもう思わない。
きゅるんきゅるんの顔をした美少年は、俺の幼なじみで。
「分かった、ハナ、ちょっと待てくれ」
「おーけー」
幼なじみのハナ、華という字を書く。
綺麗な名前に可愛い容姿。
名前のまま、周りに華が咲いているような笑顔が人気だ。ある意味兵器にもなる。
名前負けしてないってのはこういうことだ。
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