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OP ロビン夢


「ところで、あんな危ない海域で何をしていたんですか?」

ナミがロビンの隣に座ってななしに質問した。サンジが煎れたコーヒーを一口飲んでななしは目を細める。

「海軍に追われていたんです。それで、運悪く海流に流されてしまい…まぁ、結果的にあなた方と出会えたので悪いことではなかったですね」
「一人で大変だな。仲間とかつくらねぇのか?」

ルフィの疑問にななしは笑ってみせた。ロビン以外の船員が首を傾げる。

「殺人鬼が仲間をつくるなんて有り得ないですよ。一人の方が逃げやすいですからね…そんなに警戒しないで下さい。狙撃手さん。私は危害を加えない人を殺しはしません」
「!あ…いや!そんなことわかりきっているぞ!」

ウソップは物影から虚勢を張る。ななしは含み笑いをしてまた一口コーヒーを飲んだ。

「仲間いねえならおれ達の仲間になれよ!な?」
「…私が麦わら海賊団に?面白い冗談ですね。世界が笑ってしまいますよ」
「誰に笑われてもおれは気にしないぞ!仲間になれ!」
「ルフィ。意味が違ってるわ。仲間にならないって意味よ」
「なんで?」

ルフィの純粋な質問にななしは更に笑った。そんな彼女に再び全員が首を傾げた。ななしは小さく謝って唇の傷痕をなぞった。

「まさか、そんなことを言われるなんてね。赤髪さん以来ですよ」
「シャンクスのこと知ってんのか!?」
「もちろん。素晴らしい海賊ですが―…少々、癖が強い」
「あら。じゃあ、赤髪のお墨付きなら強さに問題ないわね?ますます仲間にいれたほうが良いわね?ルフィ」
「おう!仲間になれ!」
「ロビン。見ないうちに随分強引になったね」

ななしは少し呆れたように肩を竦めるとルフィを見つめた。無表情の彼女はまるで石膏の像のようだった。

「麦わらさん。正直に言いますと私は海賊でもなんでもないのです。ただの人殺し。そんなやつが仲間を作るなんて馬鹿みたいなことはありません。それに…―」
「それになんだ?」

腕を組んで不満そうなルフィにななしはニタリと笑ってみせた。ぞっとするような笑みに全員が冷や汗をかく。

「私は自分より弱い人についていくことはしない。信用出来ない人についていくこともしない。貴方は私の条件に一つも当てはまっていないんです。私が信用している人は世界で5人だけです」
「…それはロビンもいれてか?」
「ええ。ロビンは私が世界で一番…信用している子ですよ」


ロビンは思わずななしの手を握る力を強めた。嬉しいと同時に悲しかったのだ。
自分を信用しているのに、自分が信用している人を信用していないことが。

「…よし!じゃあ、おれと勝負しよう!勝ったら仲間になれ」
「「「ルフィ!!!」」」

仲間の呼び掛けをルフィは無視をしてななしを見つめた。ななしは金色の瞳を輝かせると笑ってみせた。

「良いでしょう。じゃあ、私が勝ったらロビンをいただきます」
「え?」
「ロビンを?」
「そろそろ一人も寂しくなってきたので」
「わかった」

ルフィが二つ返事をしたことを船員は驚愕した。ルフィは強いが9億ベリーの賞金首に敵うはずがないと思った。

「ルフィ!あんた何で」
「勝てば良いんだ!そしたらロビンは仲間のままでななしも仲間だ!」
「確かにそうだけど…」

ナミはちらりとななしを見た。凪のように穏やかな横顔からは想像できない殺人鬼の彼女に冷や汗を流す。
ロビンは複雑な表情でななしに寄り添っていた。

「勝負は次の島でやろう!それまではお前は客だ!」
「わかりました。お言葉に甘えさせていただきます」

ななしはぐるりと辺りを見渡すとブルックと目が合った。ななしは目を開いたがブルックは陽気に笑った。

「ヨホホホ〜久しい顔を見ましたね。あの人にそっくりです!」
「…―貴方の話は兼ね兼ね聞いていました。祖父母は貴方の音楽が好きだと言っていたので。まさか、そんな姿になっているなんて…さすがグランドラインですね」
「私もそう思います。お二方は?」
「死にましたよ。私以外のみょうじ家は一人もいません」
「それは、残念です…心底優しく暖かい人達でしたから。是非、もう一度会いたかった」
「…―私も会いたいです」

ぽつりと零れた言葉にブルックは何も言わなかった。そして、誰にも彼女の気持ちは分からないと思った。
ロビンは立ち上がり、ななしの手を取って立ち上がらせる。

「部屋に案内するわ。良いでしょ?」
「ああ!構わねぇよ!」

ななしは一礼してロビンの後を着いていく。皆はそれぞれの表情でそれを見送った。




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