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accomodo
原因



任務から帰って来た彼を迎えたのは、

「がはぁッ」


花瓶だった。







「遅ぇぞカス」

「…う"、」

「報告は着いたら真っ先にし…ん?」


バレた。

スクアーロは身を固くした。



「おいカス、そりゃ一体何だ。」
「何のことだぁ?」
「しらばっくれる気か?
 その顔は、どうした。」

ザンザスが無遠慮近づき、
スクアーロの俯いていた顔を
無理矢理引き上げる。

「ちょっと転んだだけだぁ」
「違ぇな。
 こりゃ切り傷だ。」
「っ」
「おいカス。
 どういうことか、話せ」
「・・・。」



嫌だ。恥ずかしい。

しかしザンザスは許さなかった。

「言え」
低い声で命令される。
その声には言わないと殴る、と。
言外に伝えている風があった。








「…髪を、」

仕方なく、渋々答える。


「あ"ぁ?」
「髪を、切られそうになったんだ」



と、ザンザスは心底呆れたように、

「・・・はぁ?」

と一言。



こうなったらもうヤケだ。

「髪を鋏で切られそうになったんだぁ」
「そんだけか?」

「…は?」

「コノカスが!」
「ぐあ"ッ」
ガスッ
今度は腹に膝が入った。





その後も体中を殴られ蹴られた。

しかし顔だけは、まるで故意に
避けるかのように手を出されなかった。


だが彼にはそんなのどうでもよくて。

ただただ、命に代えても
護ろうとした忠誠の証を
どうでもいいように扱ったザンザスへの
怒りと悲しみと切なさと悔しさに

涙が、止まらなかった。





この人は解ってくれないのだ
自分を、忠誠を、愛を。と。



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あきゅろす。
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