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へなちょこ



その時から俺の頭の中には
その言葉しか響かなくなっちまった。


そして俺は今、ロマーリオ達に
絶対について来ないよう言い、
山を1人歩いている。

この山は熊がよく出ることで有名。
熊なら修行相手として申し分ない。










だけど・・・




「うわぁぁあぁ?!」

真っ直ぐ歩けない。


「いってぇ…これで何回目だよ」
登り始めてからというもの、
何度も何度も足を滑らせ躓き転んでいる。

既に愛用のジャンパーもボロボロだ。


「へなちょこ…か。」
呟くとまたあの時の想いが甦る。

「うっし!頑張るぞ!!」



























今日はへなちょこが来ない。


会いたいわけじゃないけど。

でもいないといないで何だか寂しい。


部屋が、ね。
僕は寂しくなんかない。




時計の針はもう6時を回っている。

そろそろ見回りをして帰らなくては。


と、書類をまとめ始めたその時。
「雲雀恭弥ッ」
見慣れた顔がノックもなしに入って来た。



「…あなたは、」
「ディーノの部下、ロマーリオだ。」
「あぁ。」
「ボスが病院に運ばれた」
「…え?」
「車を待たせてある。来てくれ」


ロマーリオとかいう濃い男の言葉が

遠くに、聞こえた。「お、恭弥」

「跳ね馬っ」

病室に駆け込んできた雲雀を見て、
リンゴを丸かじりしていた
ディーノは目を丸くした。

「…ロマーリオ」
「いなきゃ寂しいんだろー?」
「・・・。」



「何そのカッコ」


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