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「誕生日おめでとう、ボス。」

「また老けちまったなぁボスー」

「会場の準備はできてるかー?」

「誕生日パーティーは・・・」












「・・どうしたんだ?ボス。」



TI AMO CAVALINO !!













ディーノはふくれていた。

その理由は何とは無しに皆解っていた。

解ってはいたのだが、一応、訊いてみる。



「…なんかあったのか?」

「恭弥が、忘れてた。」

「・・・。」

「忘れてた。」







誕生日を。










付き合い(?)始めてもう結構経っているにも関わらず、だ。

ディーノは心底不機嫌だった。





「まぁ…
 あのボウヤじゃあ仕方ねぇよ」

「仕方なくない!
 だって曲なりにも恋人なんだぞ?」











それでも。

それでも覚えないのが【雲雀恭弥】だ。


なんて、その場に居る誰もが思い、しかし口に出さない悲しい現実だった。















一方。


雲雀宅。



草壁は、本を開いている主に緊張しつつ問いかけた。

「良かったのですか?」

「何が。」

「ディーノさん、悲しそうでしたよ」



昨日。

自らの誕生会に招待しに来たディーノに、雲雀はキッパリとこう言った。


「そんなの知らない。」

「忙しいから邪魔するな。」














「別に。どうでもいいよ」


しかし草壁は珍しく食いついた。

「嘘です。
 恭さんはちゃんと覚えてい「黙れ」」






「僕は覚えていなかった。」

そんなの、どうでもよかった


そんな主の頑なさに不安を抱き食いついたものの、やはり主はどこまでも頑なで。

草壁は仕方なく一礼し、部屋を去った。





僕はもう子どもじゃないんだよ

跳ね馬・・・



その後雲雀が窓を眺めながら呟いた言葉は聞かずに。













「…誕生会、出なきゃ駄目か?やっぱ。」

「当たり前だろボス。」


ディーノは大きく息を吐いた。





「雲雀が来ないからか?」

「否・・・」



そこで一瞬詰まったディーノは、

しかし少し悲し気に続きを口にした。



「女の相手をしなきゃいけないから、さ」


「ボス・・・・・」





どんなに素っ気なくされても、

どんなに冷たくあしらわれても、


それでも愛してしまった人だから。

他の人間を、近づけたくない。




「・・・。」


「まぁ恭弥は全然気にしないだろーけどさ!

 でもやっぱ・・・嫌だろ?」



「・・・馬鹿だなぁボスは」

「ちげぇーよ」
















「大馬鹿なんだよ」





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