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The Dream Comes True !
A








「あーいっぱい遊んだなっ!」

「…よく飽きないよね、ホント。」



夕日が水面を赤く染め、
昼間の喧騒が少しずつ弱まり始めて
漸く雲雀はディーノの手から解放された。

引っ張られ続けてヨレた袖が微妙に弛む。
大事な学生服が…と、雲雀は眉を潜めた。



しかし、次のディーノの言葉に
彼は不本意だが夕日に感謝する事になる。



「当ったり前だろ!

 きょーやが一緒なんだからさっ」


「!」

ドキリ
確かな鼓動の高鳴りに、内心慌てる。


「ばっバカじゃないの?!
 このショタコンバカ!」

「ショタコン?!」

「前に赤ん坊が言ってた。
 アンタみたいなのを言うんだって?」

「ちっ違う!!
 俺はショタコンじゃないっ」





正直ショタコンなんて言葉がディーノに当てはまるか否かは微妙だということも、ショタコンが幼い男児を愛する人を指す言葉だということも理解はしていたが、慌てふためくディーノが見たくて、少し、意地悪してみる。


「ねぇ、どんな意味なの?」


「っ
 恭弥は知らなくていいっ

 …リボーンの奴また妙なコトを・・・」





これでいい。
雲雀はフンと鼻を鳴らした。

自分が彼の一挙一動に心を揺らすなんて、気に食わない。

この流れが、1番いい。



しかしそこで彼は気づいた。











自分がディーノの“一挙一動”に、

今日一日心を揺らしていた、事実に。













「!」

おかげでまた不本意ながら
夕日に感謝することとなった雲雀は、


「イタッ」

取り敢えず隣の金髪を思い切り叩いた。



「で、最後にしたいコトあったんでしょ」


「あー忘れてた!

 恭弥、アレ乗るぞっ」

「え?」



ディーノが指すのは上下に動くと言う
まだ新しい方の絶叫系アトラクション。


「え…コレって、」

知らず知らず冷や汗が流れる。




「あぁ、高いトコまで行けるんだって!
 それに話だと、とっても良い・・・」

楽しそうに語るディーノ。

しかし雲雀は、その声を遠く感じていた。



「ん?
 どうした恭弥?」

「ねぇ、ソレどうしても乗りたいの?」

恐る恐る訊くと、

「あっ
 お前もしかして恐いのか〜?」


雲雀は目の前の金髪に近くにあったダストボックスを投げようとしたがしっかり固定されていた上にディーノが平謝りした為未遂で終わった。




「じゃっ行くぜ恭弥!」

「うわっちょっと!」


グイッと腕を掴まれ引っ張られる。


雲雀は勿論抵抗したが、

「ほらほらっ」


街灯に照し出されたディーノの横顔が、あまりにも楽しそうで、諦めてしまった。














「恭弥っ楽しみだな!」


アトラクションである旧ホテル内のツアー見学を経て、遂にシートへ座らされる。

右隣でディーノが楽しそうに笑いかけてくるが、雲雀は全くそれどころではない。


震えこそしないが、胸中では大地震だ。



ふと名前を呼ばれる。

「なぁ、恭弥。」
「・・・ん。な、なに?」

突然呼ばれて微妙に吃りながら応えると、

「1番上に着いたら、コッチ見て」


よく意味の解らないことを言われた。

しかしそれを深追いする余裕は勿論なく、

「・・・・・・わかった。」

取り敢えず了承だけはしておいた。










ガガガッ

さして大きくもない音にさえ反応してしまう自分が恨めしい。1番後でよかった。


しかし隣にはディーノ。
まさかジェットコースターが怖いだなんて言えるはずもなく、気付かれないよういつもの2倍虚勢をはる。

こういう時、天の邪鬼は厄介だ。





スーと上へ上へと上がっていく。それとは逆に、冷や汗が下へ下へと、背を滑る。









「恭弥」

掠れ声で名前を呼ばれ、雲雀はもう1番上に到着したのだと気が付いた。そして、







「…ん」


ふわり

無意識に右を見た顔に、




唇が、降った。

瞳いっぱいに広がる、蜂蜜色。















どこかで花火の上がる音がした。











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