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「…おはようございます」


風紀委員長は授業免除の特権があるため次の日、僕は朝から風紀室に来ていた。


「おはよ、黄々ちゃん。……て、どないしたの?浮かない顔して」
「……いや…あの……」


何と言えばいいのかわからなくて言葉に詰まる。
でも恒賀先輩に話したら楽になれるのかもしれない。


……相談してみようかな…


「……あの…じつは…」







「――おい!チビ!!」


バン!!とものすごい音をたてて開かれた風紀室の扉口には鳴海先輩が肩を怒らせて立っていた。


「どないしたん、怜ちゃん」


風紀室にズカズカと入ってきた鳴海先輩に恒賀先輩が近付く。
しかし鳴海先輩はそれにかまわず僕のほうに近付いてきた。


「―――お前、和雅に何か言ったの?」

「―――え…?」


いきなり核心を衝かれてドキリと心臓が波打つ。
きのう龍音時先輩に言った言葉が知られたのだろうか。


「……何で……」


訊きたくても訊けなくて途中で言葉が途切れた。
鳴海先輩は僕がいる委員長の仕事机の前まで来ると、両手で机をバン!と叩いた。


「…あいつ、きのうまでの仕事を終わらせてなかったんだよ。今まではさぼっても期限付きのはちゃんとやってたのに。……今までと変わったことといえば、お前が来たことくらい」
「……っ…」


それはやっぱりきのうのことと関係しているのだろうか。

………きのうあったこと言ったほうが良いのかな…、…僕のせいで龍音時先輩が仕事をしなくなった……?


「…どうなの、チビ。あいつが仕事をしなかったのはお前のせいなの?」
「………あ…」


「…ええやないの、怜ちゃん」
「健…」


恒賀先輩が話しに割って入ってきてくれたおかげで鳴海先輩の意識が恒賀先輩に向く。


「龍音時にだって仕事しとうないときもあったんやろ。な、黄々ちゃん」


そう言って頭にぽん、と恒賀先輩の手が乗る。


「…………」


恒賀先輩には全てを見透かされているような気がした。


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