[携帯モード] [URL送信]


生徒会長の龍音時先輩といえば不良ってことで有名だ。
金色の髪にグレーの瞳。その外見もさることながら喧嘩も強いという話だ。

鳴海先輩には探して来て、て言われたけど僕は龍音時先輩とは会ったこともないので一カ所ある心当たりの場所に行ってみていなかったら生徒会室に戻ろうと思う。
その一カ所はどこかって?
不良といえば屋上でしょ。


僕は生徒会室がある棟の屋上に行った。
鍵が掛かってるかも、て心配したけどノブを回すとすんなりと屋上への扉は開いた。


初めて来る屋上にドキドキする。
龍音時先輩の顔は遠目でなら見たことあるけどはっきりとはわからない。
それらしき人がいないかと辺りを見回す。


「…あ…」


人影はなかったが給水タンクの上から煙草の煙が上っているのが見えた。

もしかしてと思って僕は給水タンクの上に続く梯子に足をかけた。








「…龍音時先輩ですか?」


僕が声を掛けるとその人は僕に目をやり眉間に皺を寄せた。
給水タンクの上には金色の髪に鋭いグレーの瞳。制服の上からでも綺麗に筋肉が付いているのがわかるくらい逞しい身体をした人がいた。


「なんでお前がここにいるんだよ」


不機嫌そうに聞き返されてきょとんとする。
…もしかしてこの人が龍音時先輩で合ってるのかな?


「鳴海先輩に龍音時先輩を探してくるように言われたんです」


するとすぐさま舌打ちをする音が聞こえた。


「…怜には気分じゃねぇって言っとけ」


それだけ言うとまた龍音時先輩は煙草を吸い始めてしまった。


「………もしかして、よくさぼってるんですか…?」
「……だったら何だよ」
「………」


その時、心の中で理不尽だと叫ぶ僕がいた。
僕はなりたくもない風紀委員長にこの人のせいでさせられて、それでも頑張ろうと思って。それなのにこの人は会長職をさぼってるの?
そんなの……。


「…そんなの、ひどいよ」

「………あ?」

「ぼくはっ…僕はなりたくもない風紀委員長にあなたのせいでさせられてっ……そのせいでみんなに遠巻きにされるしっ…自分を惨めに感じるし……あなたさえ、……あなたさえ僕を指名しなければっ……!」



―――はっ…



そこで急に目が覚める。

……僕は今なんて言った…?
この人に…。


「……あ…」


下を向く。怖くて龍音時先輩の顔が見れない。

僕はその場から走って逃げ出してしまった。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!