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「で、もういい?」
鳴海先輩が指でトントンとテーブルを叩きながら恒賀先輩に訊く。
「……ええよ」
あ。
恒賀先輩、だんだん疲れてきたみたいだ。
また溜め息を吐いていた。
「おいチビ」
「…はい!?」
突然尊大な態度で呼びかけられて驚く。
というより顔が引きつった。
「お前の顔が何の特徴もなかろうがありふれていそうだろうがそんなこと俺にはどうでもいいの」
………そんなこと、誰も言ってないんだけど…。
「なんで……っなんで顔合わせやるっていうのに和雅がいないの!?」
鳴海先輩はイライラしたように眉間に皺を刻む。
「え〜?何言ってんの鳴海先輩〜」
「龍音時先輩がいないなんていつものことじゃ〜ん」
「……双子は黙ってな」
「「ひっ」」
鳴海先輩の睨みに琉那神兄弟は二人して首をすくめた。
そして鋭い目をそのままに今度は先輩は僕に目をやる。
「お前和雅に指名されたくらいなんだから和雅の知り合いなんだろ?」
「…え…?」
なんか誤解されてるみたいだ。僕は和雅という名前が生徒会長の龍音時和雅先輩だと今気付いたくらい、その人とは何も接点もなく過ごしてきた。
鳴海先輩は立ち上がると僕のほうに来て、僕の襟首をガシリ、と掴んだ。
「知り合いなら和雅を探して来て」
「ええぇ!?」
そのままズルズルと生徒会室の扉まで引きずられて行く。
「ちょっ、ちょっと待って下さい!僕は龍音時先輩と知り合いじゃ…」
扉を開けてポイ、と投げ出される。
「じゃ、よろしく」
鳴海先輩のにっこりと笑った綺麗な笑顔が扉の影から見えた。
―――バタン!!
………あんまりだ…。
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