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「俺らは遠くからきいちゃんがいじられるのを見たかったのにー」
「鳴海先輩がきいちゃんの近くで手出されないように見張ってろってー」
「「つまんなーい!」」


……手を出す…?
……見張る…?


言っている意味がわからず首を傾げる。


「えぇっと…つまり…どういうこと…?」


控えめに訊くとじゃれるように首に手を回される。
二人同時にされているため重さで首が締まりそうだった。


「きいちゃんを守るためじゃないのー?」
「きいちゃんを妬んでる人はいっぱいいるだろうからねー」

「………」


僕は何故だかわからないが編入したてで風紀委員長に選ばれた。この学校のことをまだよく知らない僕には理解し辛いことだけど、風紀委員長、そして風紀副委員長という役職は憧れの生徒会の皆様に近付けるということで人気の役職らしい。
これまでもその席には学園内でも有名な人が就いていたらしく、風紀副委員長の恒賀先輩も人気があるようだ。

だけど僕は違う。

顔も平凡で何の特長もないし何かの能力に秀でているというわけでもない。
そんな僕が風紀委員長に指名されたことをよく思っていない生徒は多く、妬んでいる生徒がいるというのは頷けた。
でも。


(……鳴海先輩が…?)


頭の回転が遅く慣れない仕事にいつも四苦八苦して生徒会に、特に鳴海先輩に迷惑をかけている僕を、鳴海先輩が心配してくれているのだろうか。

そう思い、琉那神兄弟に訊いてみる。だが返ってきたのは思いがけない言葉だった。


「鳴海先輩は先輩だよー」
「先輩だよー」


………ごめんなさい、意味がわかりません。


双子の言葉は難解だった。




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あきゅろす。
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