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「はあ…はあ…早いっ…て」


恒賀先輩から連絡をもらい急いで現場に向かったは良いけど、僕と榊原先輩とでは脚の長さも違うし基礎体力も違うしで早々に引き離されていた。
僕に合わせて走っているわけにもいかず、先に行ってもらったら完全に先輩の姿は見えなくなってしまった。

風紀委員長としてかなり情けないが、今は辿り着くことだけを考えて走る。

しばらく行くと人の話し声が聞こえ始め、僕は力を振り絞ってスピードを上げた。




そして着いたそこでは―――



ガラの悪そうな生徒の後頭部に、榊原先輩が右脚による綺麗な回し蹴りを決めていた。



「……………。…すごい」


その滑らかな動きに全てを忘れてしまうくらいに目を奪われる。

右脚を地面に着くと、先輩は三人の生徒と向き合い、口にある白い飴の棒をゆらゆら揺らしながら楽しそうに口角を上げた。すでに二人の生徒が地面に沈められ、その人達からは呻き声が聞こえてくるばかりだ。


「―――で?次は誰がかかってくるの〜?」

「てめぇ!調子にのんなあ!」


口調自体は緩いのにその目つきはいつもより鋭くなっており真剣味を帯びている。だがその態度には余裕があり相手のほうが圧されているのは一目瞭然だった。


そこでぼくは、はっとする。
完全に今の状況を失念していた。


今は風紀の仕事中だった――!



何故こんなことになっているのかはわからないが、僕は加害者であろう彼らを榊原先輩に任せ被害者は無事かと辺りを見回す。


「―――あっ」


少し離れた木の根元に腰を下ろし、うなだれている生徒を見つけ被害者かと思い駆け寄った。


「……あの…大丈夫ですか…?」


その言葉に地面に向けられていた目が僕をとらえる。

(……???)

そして、何故かじっと見つめられた。



「……あんた汗やばいけど……あんたがダイジョブ……?」


「…………」



己の体力のなさに、僕が地面に沈みたくなりました……。


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あきゅろす。
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