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「最近重いんだよね〜。ちょっと勘違いしてるのかも、このセフレちゃん」

「………。セ、セフレ!?」


聞き慣れない、明け透けな単語に顔が赤くなる。
榊原先輩は口にくわえている飴をそのままに、めんどくさそうに息を吐いた。


「俺に本気になりかけてるっぽいし、もう切ろうかな〜」
「…で、でも先輩は好きだからその人と付き合っているんじゃないんですか…?」
「好きじゃないし、付き合ってもないよ。ただのセフレ。性欲処理」

「……せい…よく…?」



(……………)



僕は好きな人もいないし、付き合ったこともないけど、……好きな人にそんなふうに言われたら……



「……そんなの…傷付きます」
「……え…?」
「榊原先輩にそんなことを言われているって知ったら、相手の人傷付くんじゃないですか…?」
「……あー…」


くしゃりと髪をかきあげると遠くに目をやる。


「……まあ、傷付きはするかもね〜…」

「それならっ………、傷付くってわかってて、悲しませるってわかってて、それでも一緒にいる意味はあるんですか?」



「……………」






話し声のなくなった場に静寂が落ちる。
何も口を開かなくなった先輩に僕ははっとし、しまったと思った。


龍音時先輩の時のように、また好き勝手なことを言ってしまったと激しい後悔に襲われる。

これは榊原先輩と相手の人の問題であって僕には関係のないことなのだ。


「あの、すみません!僕が口を挟むことじゃありませんでした!あの……」

「……………」


「……すみません…」

「……………」


何も話してくれない先輩にどう謝れば良いのかわからず、黙り込む。

僕がもう一度謝ろうと口を開きかけた時、僕のポケットにある携帯が鳴り出した。


その音に引き付けられ、僕と榊原先輩の目が風紀専用の携帯が入っている僕のポケットにいく。
僕は慌てて携帯を取り出すと受話ボタンを押した。


「はい、」
『黄々ちゃんか?恒賀やけど』
「あ、お疲れ様です」


電話をかけてきたのは本部で待機をしている恒賀先輩だった。


『今一般生徒から情報が入ったんやけど、黄々ちゃんらが見回りしてる近くでリンチが起きてるらしいんよ。悪いけど今からすぐ行ってくれへんか?』
「―っ―!わかりました!」


大体の位置を確認してから電話を切る。

話しの内容を榊原先輩に伝えると、先輩は神妙な顔をして行こう、と言った。


「はい!」


そして、僕達は現場へと走って向かった。



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