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割り当てられた部屋に戻ってから風紀委員で集まり、歓迎会の最終確認を済ませて今は歓迎会のメインともいうべきオリエンテーションの時間だ。
日程の一日目の午後を丸々使って行われるこのオリエンテーションは、新入生が二人一組となり三つのポイント地点で出される問題から、それぞれ三つのキーワードを導き出すというものだ。早く導き出した組には景品が用意されている。
ホテルの広い裏庭全体を使って行うため、常時風紀委員が見回りをし喧嘩やサボリ、この機会に乗じて問題を起こそうとする生徒がいないか取り締まる必要があった。

風紀委員は二人一組となり、一組は本部で待機、残りの三組は裏庭の人気のないところを巡回していた。
ポイント地点の近くでは人が集まっているため問題は起こりにくいが、人気がないところは恰好のサボリ場所、またはリンチ現場となっていた。



「本当に僕が持っていて良いんですか?」


風紀内専用の携帯を見つめ、僕は一緒に取り締まりをすることになった榊原先輩に問いかけた。


「い〜のい〜の、俺フォークより重いもの持てないし〜」
「………はあ」


そんな訳はないと思うんだけど。
そんな気持ちがありありと出てしまった返事になったが、とりあえず僕はその携帯を制服のズボンのポケットに入れた。

この携帯に何かあったときは連絡がくることになっている。一組につき一台なので絶対に落としたり壊したりしてはいけないと、ズボンの上から携帯を握り締めた。





僕は榊原先輩と並んで歩く。



辺りは僕達以外に人の気配はなく、草を踏む僕達の足音だけが響いていた。


このまま何もなければ良い。


そう思いながら歩いていると隣から軽快な音楽が聞こえた。
僕が榊原先輩を見ると、ちょうどポケットから携帯を取り出すところだった。
携帯を開いて、メールだったのか暫くボタンを押して何やら操作をしている。
そしてパチン、と携帯を閉じるとう〜んと唸り出した。


「……どうかしたんですか?」
「…ん〜?そろそろ切り時かと思ってねえ〜」
「…………切り時?」


言っている意味がわからず、オウム返しに応えた。
僕の意を汲んでくれたのか、榊原先輩が詳しい説明をしてくれる。



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