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「お疲れ、黄々ちゃん」

開会式が終わり、一般生徒が開会式が行われていたこの部屋から各自の部屋へ戻っている中、気が抜けきり部屋の隅で壁に寄りかかっていた僕に恒賀先輩が声を掛けてくれた。


「…恒賀先輩」


恒賀先輩は情けない顔で先輩を見上げる僕の頭を慰めるように撫でてくれる。


「最初に言ったあの言葉は誰も気にしとらんよ。…それよりごめんな。俺がジャガイモなんて言うたから」
「そんな!…あれは僕が馬鹿だっただけで…」


いくら緊張のあまりみんなのことをジャガイモジャガイモって思おうとしていたからって、まさか口からその言葉が出ちゃうなんて…。

開会式が行われていたこの部屋は既に閑散としており、生徒会の人達がマイクや出ていたテーブルの後片付けを行っていた。
それも量が少ないためもうすぐ終わろうとしている。


「本当にすみませんでした…」
「謝ることなんてないで。次頑張ろな」
「……はい」


優しく微笑む恒賀先輩に慰められ、僕も小さく笑みを零した。


「…健。俺達はもう戻るけどお前達はどうする?」


いつの間にかこっちに来ていた鳴海先輩が開会式の原稿を手に恒賀先輩に訊いた。
恒賀先輩は鳴海先輩に顔を向ける。


「ああ。ほんなら俺らも戻るわ」


そう返し、恒賀先輩は僕に向き直った。


「黄々ちゃん、俺らも部屋戻ろか」
「はい」


既に後片付けを終えた生徒会の人達が部屋の扉へと向かっている。
僕と恒賀先輩もその後に続き、部屋を出た。


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あきゅろす。
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