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風紀委員全員の顔合わせが終わり本格的に風紀委員会が動き出した頃。
僕は風紀室でいつものごとく書類仕事に追われていた。
そんなある日の放課後――
「新入生歓迎会?」
「そうだよ〜」
思わぬ言葉にきょとんとする僕に目の前にいる榊原先輩はにへらと緩く笑った。
この榊原翼先輩は全部で十一人いる風紀委員のうちの一人だ。
風紀委員は委員長と副委員長以外は前風紀委員長により指名されるらしい。その判断基準は運動神経の良さ、武術、喧嘩の強さ。つまりいざこざに介入しても大丈夫なだけの体力が必要らしい。
そのため風紀委員はみな運動面に長けた人達が集まっていた。
「来週あるんだけど恒賀から聞かなかった?」
「ら、来週!?」
あまりのことに大声を挙げた僕を見て榊原先輩は面白そうに口の端を上げる。
榊原先輩は茶色の髪に両耳にシルバーのピアスをしていて見かけは細身でチャラそうだ。いつも棒が付いた飴を舐めており、口から出た白い棒がゆらゆらと揺れていた。
「…そんな…全然準備してない…」
今は校内の見回りをしている恒賀先輩に早く戻って来て下さい、と切実に頼む。
そんなことをしても戻って来てはくれないけど…。
「だあ〜いじょ〜ぶだよ。新入生歓迎会で風紀がすることなんて見回りくらいだから。あと委員長は開会式でちょこっと諸注意を言わなきゃだけどね〜」
情けない顔で榊原先輩を見る。
でも僕はそこではた、とあることに気付いた。
「……あの……僕も新入生なんですけど……」
「諦めるんだね〜。風紀委員長に休みはなしっ」
……どうやら僕はその新入生歓迎会には参加できないようです…。
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