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鳴海先輩の怒鳴り声に僕だけじゃなくソファーでクッキーを食べていた琉那神兄弟もびくりと身体を震わせる。
「それは生徒会の判子が必要であって風紀委員長の判子なんていらないの!普通に考えればわかるでしょ!」
「―――…え…?」
それってつまり…
「書類作り直しだよ!バスケ部の部長に言ってまた一から作ってもらわないと……」
考え込むように言っていたかと思うと鳴海先輩はきっ、と僕を睨み付けた。
「バスケ部の合宿日も迫ってるっていうのにっ……お前が風紀委員長じゃなければこんなミスも起こらなかっただろうねっ」
「――――」
頭に鈍器で殴られたような衝撃を受ける。
「………っ…」
今まで我慢していたものが溢れ出てくる感じがした。
「僕だって…僕だって好きで風紀委員長なんてやってるわけじゃないですよ!!」
言いながら涙が溢れてくる。
「僕だって…こんな……」
「―黄々ちゃん!」
風紀室を飛び出す僕の背に恒賀先輩の声が掛かる。
でも僕は後ろも振り返らずにただひたすらに走り続けた。
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