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今夜は君に会いたい、なんて

『今暇か?』



そんな実にシンプルな内容のメールが日付も変わろうかという時間に届いた。珍しいなと思いつつ、暇だよと返信。するとすぐに『ちょっと出かけようぜ』と返ってくる。いいよと返して、じゃあ迎えにいくから、着いたら連絡すると返事がきたので、軽く着替えて待っていると思っていたよりも随分早く連絡がきた。



「よう」

「あぁ、自転車」

「あ゛ー?」

「いや、なんか随分早く来たなって不思議だったから。自転車で来たから早かったのね」

「久々にチャリ乗っかなーって思ったんだよ。おら、後ろ乗れ」



横向きに、なんて可愛らしく座れないから普通に荷物置きに跨って座る。わたしが座ったことを確認して、阿含はペダルを漕ぎ始めた。わたしも自転車の後ろに乗るのは久しぶりで、こんなにおしり痛くなったっけ、って妙に懐かしくなった。



「ねぇ阿含ー」

「あ゛ー?」

「こうして夜会うなんて久しぶりだねー」

「そうだな」

「なんかあったの?」



阿含が夜暇か?なんて聞くのは珍しくて、突然会いに来るなんてもっと珍しくて。だからなにかあったのかな、と思ってしまう。



「いや、なんもねぇよ。

ただ……」

「ただ?」

「……ちょっと、会いたくなっただけだカス」



言わせんなカスが察しろと、早口で捲し立てるのは照れてる時の阿含の癖。会いたい、なんてなかなか言わない無愛想でぶっきらぼうな彼がそう言うことがなんだかかわいくて愛しくて、胸がきゅっとなった。





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