新学期のはじまりに (拍手) *
「阿含さーん」
「……」
「夏休みがついに終わってしまいました」
「……」
「それに従って学校が始まってしまいました」
「……」
「ちょっとあの、フル無視やめてもらっていいですかね」
「あ゛ーめんどくせぇ」
「相変わらず部活の練習サボってるみたいですけど、そんなんで大丈夫なんですか?」
「大丈夫なのが俺なんだよなぁ」
「ほんと自信家ですよね」
「凡人とは出来が違うからよ、プチっと潰せちまうから」
「阿含さんの才能が1ミリでもわたしにあればあああああ
実は明後日テストなんですよ」
「へぇ」
「勉強教えてください」
「あ゛ームリだわ、明日明後日と練習に励む予定だから。爽やかな汗を流す予定だから」
「うーわ、こんな分かりやすい嘘つかれたの初めて」
「お前に勉強教えるぐらいならアメフトしてるほうが100万倍マシ」
「まじでか」
「お前に教えても俺に得がねぇ」
「それはほら、あれじゃないですか。かわいい後輩と2人っきりで勉強って、素敵じゃないですか。
そんな時間って、プライスレス」
「潰すぞ、プチっと」
「阿含さんの場合それが冗談に聞こえないからタチ悪い」
「つーか雲水に教えてもらえばいいだろ」
「いや、それはあの……ね?」
「ね?じゃねぇよ、なめてんのか」
「あーもう!ほら、もう!
察してくださいよ!
あ、天才のくせにわたしみたいなアホの気持ちも察しれないんだ!ばーかばーか!」
「潰すぞ」
「調子乗ってスミマセンデシタ。
だって、阿含さんに教えてもらいたいんですもん……ていうか単純に阿含さんに会う口実がほしいというかなんというか……」
「顔赤いぞ」
「う、うるさいっ!」
「最初っからそうやって素直になりゃいーんだよ。
これだからカスはめんどくせぇ」
「どうせカスですよーだ!
もう知らん!自力で勉強します!」
「待て待て待て。
あ゛ー……しゃあねぇから教えてやるよ」
「……カミサマ!!」
「その代わり、俺の貴重な貴重な時間をやるんだから……」
「は、はい……」
「礼はたっぷりもらうからな」
「え、こわいんですけど、待って待って」
「わかってんだろうな」
「なにが?!
え、やだ待ってこわい!!たすけて!!」
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