今夜月を見に行こう *
毎週月曜日に発売される某週刊少年漫画雑誌を読みながら、ベッドでくつろぐ夏の夜。具体的にいうと日付を跨ごうかという頃。クーラーをガンガン効かせて布団を被るのがわたしのジャスティス。
なんかもうそろそろ某海賊漫画の展開にもついていけないし、ついでに言えば某バスケ漫画とか某忍者漫画の展開もちょっとよく分かんねぇや、とか思ってたら突然電話が鳴った。まぁ電話なんていうのは突然鳴るものなんですけどもね。
ディスプレイに表示されていたのは、あごん、の三文字。
「やっほー」
「おいカス、今暇だろ」
「今あれなの、漫画読んでるの」
「暇だな。
スーパームーン見にいくぞ」
スーパームーン。はて?
あぁ、そういやなんかニュースで言ってたなぁ。なんか、でかい?月がでかい的な?月なんていつもでかいじゃん、なのにさらにでかくなるの?やばくね?
なるほど、それは……
「エリート戦士の、血が騒ぐな……」
某戦闘民族にのみ許された変身……今夜は血が騒ぐな。
「ていうか阿含、そんなロマンチストだったん?」
「あ゛ー?俺っつったらロマンチストだろ」
神奈川イチのロマンチスト、とかいうご冗談は聞こえないフリをした。
迎えに行くから準備しとけよ、と一言残してから電話を切った。勝手な奴だな。
そして電話が切れたわずか1分後。
また着信があったかと思えばワンコールで切れた。ワン切りは阿含の到着の合図。
「いや……迎えに来んの、早くね?」
慌てて家の外に出て阿含に文句をぶつける。ほんとに勝手なヤローだな。
阿含のバイクの後ろに跨り、何処かへ向かって走り出す。あぁ、夜はこんなにも涼しいのになぁ。涼しいっていうかもういっそ寒いくらいだチクショー。
「ねー、どこ行くん?」
「あ゛ー……
テキトーだそんなもん」
テキトーか。
まぁそれも一興。なんて。
阿含とだったらどこ行っても楽しいしなぁ。まぁ奴のことだからばっちり綺麗に月が見れるとこに連れてってくれるんだろうなぁ。
冷たい夜風を切って走る。
寒さを誤魔化すように、阿含の大きい背中に身を寄せた。
(月、綺麗だねぇ)
(おぉ)
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