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絵本の中の騎士
act.3 知らない場所
中年の女性2
「すぐにこの町を立ち去りな。
ここは盗賊の奴等に目をつけられてしまった町。奴等に見つかれば金品を脅し取られ、しまいには殺されるよ。アンタみたいなガキなんて一発さ。
…わかったらすぐに出ていきな」


SE:ドアを閉める


シェル4
「…こりゃ宿に泊まるなんて無理そうだな。くっそー…盗賊なんかに狙われてるのかよぉ…。
はぁぁ…どうしたらいいもんかな〜…」


(その様子を見ている颯真と夏音)


颯真40
「……」

夏音50
「やっぱり…あの人」

颯真41
「どうしたの、夏音」

夏音51
「ねぇ、颯真。私たち、あの本の中に吸い込まれて…気づいたらここに倒れていたんだよね?」

颯真42
「うん、そうだよ。
夏音が吸い込まれたからとっさに俺も本の中に飛び込んで…」

夏音52(颯真に向き直り)
「…やっぱり。
颯真、きっとここ…ううん、絶対にここはあの本の中の世界だよ」

颯真43
「はぁ!?」

夏音53
「誰も人がいない町…家には鍵がかかっている…そしてあの男の子…シェザブルグ・アスラン。
さっきまで私が読んでいた本のストーリーと一緒。間違いないと思う」

颯真44
「ま、間違いないと思うって…どうしてそんなに淡々と平然な口調で言えるの!?本の中って、そんなバカな!
確かにあんなことがあった後で気が付いたら見た事がない場所だし、あいつの服装もまさにゲームやアニメの中の世界って感じだし、人がまったくいない町だなんて俺たちの住んでるところじゃありえないけど、だからってそんな……あ、でも実際本の中に吸い込まれてるんだから、ぶっちゃけそれもありえる話で…って、えぇぇぇ!?」

夏音54
「…私も信じられないけど、でも本のストーリーと話が一致してるの」

颯真45(自分の頬を引っ張り)
「…夏音。これは夢じゃないんだよな?」

夏音55
「私と颯真が同じ夢を見ると思う?夢の中で普通に会話ができると思う?」

颯真46
「だよ、な…」

夏音56
「あの男の子はこの物語の主人公。あの子についていけば問題はないと思う、けど…」

颯真47
「俺たちの世界に戻れるかはわからない、ってか」

夏音57
「どうしたらいいんだろう…。
私たち、どうして本の中に吸い込まれちゃったのかな…」

颯真48
「あっ、夏音。アイツ…!」


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