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絵本の中の騎士
act.5 シェザブルグ・アスラン
シェル23
「…それが違うんだなぁ」

男の子4
「なにがちがうの?」

シェル24
「町のみんなはな、お前のようなまだ小さな子供たちを守るために、わざと盗賊に見つからないようにしているんだ。アイツらに見つかったら、お前までケンカに巻き込まれる事になるだろ?
父さんや母さんはな、自分の大切な人がケンカをしてケガをするのが見ていて辛いんだ。だからこうして見つからないようにしている。
わかるか?」

男の子5
「……」

シェル25
「お前がもう少し大きくなったら、きっとわかるようになるよ」

男の子6
「でも、あいつらが好き勝手にしているのを黙って見てるままなんてイヤだよ。
ボク、この町を守りたいんだ。ずっとこうしてコソコソしてるなんて…」

シェル26
「なら、強くなれ」

男の子7
「…強く?」

シェル27
「自分の大切なものを、自分の力で守れるように、強くなれ。
そうすればいつか俺がやったようなことをお前もできるようになるから。今のその悔しいという気持ちを、この拳に込めるんだ」

男の子8
「悔しいという気持ちを、この拳に…。
うん、やってみるよ、兄ちゃん」

シェル28
「努力すれば、必ずその気持ちは自分に応えてくれるからな」


SE:ドアを開ける音
(若い女性が子供の元に駆け寄る)


子供の母親1
「あんた…一体なにしてるの!早く家に戻りなさい!」

男の子9
「母ちゃん。
でも大丈夫だよ。さっきこの兄ちゃんが盗賊をやっつけてくれたんだ」

子供の母親2
「なにバカなこと言ってるの!いいから早く戻りなさい!!」

男の子10
「……はーい」


(シェルのほうにチラリと申し訳なさそうな視線を送るが、すごすごと家の中へと帰っていく)


子供の母親3(シェルを睨みつける)
「あんた…大変なことをしてくれたわね。盗賊を倒しただなんて…なんてバカなことを…!!」


夏音80
「え……なんてことって、どうして?盗賊を倒せば町からなにも盗まれることはなくなるし、みんな不安がることもなくなるから、いいことなんじゃないのかな…」

颯真74(夏音に口止めをする)
「しっ」

シェル29
「……」

子供の母親4
「この町はきっと終わりさ!
恐らく、やつらのボスがこれからここに来る!!自分の手下がやられただなんて知ったら、アイツはその手を出してきた張本人を探しだし、血祭りにあげられるよ!
町中の家の中を洗いざらい探しまわり、見つけた人間は誰一人生かしておいてはくれない!!あんたのせいだよ…あんたの!!
一体どうしてくれるのよ…っ」


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あきゅろす。
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