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Chapter.1 賢者の石
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『あの、ごめんなさい。人が多くてどこも空いてないの。ご一緒してもいいかしら』



11歳にしては礼儀正しい物腰で、少女はコンパートメントの少年二人に話しかけた。





1.組み分け





「あ、どうぞ」


お菓子を口に入れながらもごもごと、片方の少年が頷く。



その少年の隣に腰掛けると少女――リンファはテーブルの上の惨状に軽く驚いた。




『随分と散らかってるのね、少しもらっていい?』


「あ、いいよ」



目の前に座る眼鏡の少年の承諾を得てそれらのお菓子に手を伸ばす。


『私はリンファ・アーシェ、あなたたちは?』




「僕はロン、ロナルド・ウィーズリー。よろしく、リンファ」



その言葉を聞くとリンファは少し嬉しそうな表情になる。


『ウィーズリー?パパから聞いたことがあるわ、お父様が魔法省で働いていらっしゃるのでしょう?』



人柄のいい人って言ってたわ、そう言うとロンは照れたようにありがとうと言った。




『あなたは?』


今度は眼鏡の少年に向き直る。




「僕は…ハリー、ハリー・ポッター」



『嘘でしょ…?』



それを聞いた途端に驚いた表情をするリンファ。



それにハリーは苦笑いを返した。





『まさかこんなところで会えるなんて…よろしくね、ハリー』



しかしそれも一瞬だけで、リンファはそう言うとにこりと微笑んでハリーに右手を差し出したのだった。




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