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幻愛夜想曲
1

「如月さんでも、授業中に寝ることがあるんだね」


古典が終わり欠伸をしながら伏せていた顔を上げた私に、隣の席の皐月くんがさも面白そうに言う。


「古典眠いんだもん」


まだ眠そうな私に、皐月くんは笑った。


「如月さんと隣でよかったよ」


「どうして?」


「寝顔を堪能できたから」


その言葉に思わず顔が赤くなる。


「…可愛い」


(か、可愛いって…!?)


くすり、と笑われてふと皐月くんが誰かと被った。


すぐにそれが誰か思い出す。


「…皐月くん、なんだか霧夜先輩みたい」


「霧夜先輩?どこが?」


「歯の浮くようなセリフを言うところ」


苦笑しながらそう言うと、皐月くんは驚いたような顔をした。


(あれ?)


どうしてそんな表情をするのか分からなくて聞こうとしたが、それは突然変わった教室の雰囲気に叶わなかった。




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