幻愛夜想曲
4
『動きよ止まれ』
それは単純な詩だが、霧夜は美しく歌い上げる。
『時の神よ 我の思うままに 我の障害を 止めておくれ』
(綺麗な声…)
思わず聞き惚れてしまう美猪たちとは別に、凶徒は動きを止められ苦悶の唸り声を上げると大きな音を立てて倒れた。
「っ…!今です、暁先輩、沙紀先輩!」
美猪の言葉に二人ははっとすると、凶徒に飛びかかった。
霧夜の能力は美猪とは違い、歌っている間でないと発動できない。
もし何らかの理由で詩が途切れるといけないので、極力早く始末をつけるようにしているのだ。
『はあっ!』
暁は剣、沙紀は拳を叩き込むと、凶徒は鈍い音を立て一瞬で霧散した。
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