幻愛夜想曲
3
「おい、なにが“僕の美猪”だ!さっさと美猪から離れろっ!」
暁が怒鳴る一方で、美猪は抱き締められている体に思わず顔を赤く染める。
そんな美猪に霧夜が可愛い、と囁くとさらに赤くなった。
「お前たち…一応戦闘中なのだが」
冷静な玲の言葉に四人が振り向くと、美猪の呪術が解けかかり、凶徒が逃げだそうとしているところだった。
「うわ、まじかよ」
慌てて飛び出した暁は再び攻撃を受けかける。
「ったく、あいつは」
溜め息を吐くと沙紀も飛び出し、暁を間一髪で助けた。
(…暁先輩、学習能力無さ過ぎです…)
しかしそこでとうとう術の効果が消えた。
「っておいぃ!待てこら」
再び攻撃しようとしたところで凶徒が逃げ出す。
「…逃がさないよ」
呟くと、霧夜は綺麗なテノールで歌い始めた。
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