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燻る殻 B←F



重なっていた吐息が離れる。
銀糸がぷつり、と切れて雫が顎に伝った。


「煙草臭いですー…。」


唇が解放されてからの第一声。
フランは顔を顰めて相手に訴えた。


「あー、そう。」


対してベルフェゴールは、適当な相槌を打つ。
その声色には何の感情も灯らない。


「センパイが煙草吸うなんて珍しいですねー。」


「んー…。」


気怠るそうに頭を掻きながら、ソファから立ち上がる。
取り残されたフランは、その背中を眺めながら尚も問い掛ける。


「ミーは、煙草の匂い嫌いですー。」

「ふーん。それで?」


少し離れたベッドに腰を下ろすと、スプリングの軋む音。
そして、静寂。


「だから…ミーとキスする時は、煙草の匂いは消してほしいなー…なんて。」

「ん、わかったわかった。」


ベルフェゴールは既に寝る体勢に入り、フランに背を向けていた。


「センパイは…ホントはミーのこと…。」


好きではないんですよね?
煙草と同じで、ただの“火遊び”感覚なんですよね?


飲み込んだ言葉は、自身を傷付け
溢れる涙は、酷く熱かった。



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あきゅろす。
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