盤上破乱
第捌頁
「ヴヴ…赤い着物の女が〜こっち来るゥゥ…。」
近藤のうめき声がやっと耳に通るまで静かになった。
土方はまたストレスをためたかのようにため息をついた。
修羅はかしらに寄っかかって茶を啜った。
どこまでも自分を見失わない人間である。
沖田がどういう意図か知らないが近藤の首を絞めていると、銀時がぽつりと言った。
「…これはアレだ。昔泣かした女の幻覚でも見たんだろ。」
「近藤さんは女に泣かされても泣かしたことはねェ。」
銀時は「そーだろうな。」と妙の事を思い出しながら言うと、じゃあ、とまた言い出した。
「オメーが昔泣かした女が嫌がらせしに来たんだ。」
「だったら相当の問題ですね。」
修羅が横から口をはさむ。
「んでだよ。」
「土方副長先輩の所為で近藤局長先輩が死ぬなんてみっともなさすg「何不吉な方向に持って行ってんだよてめェはァァ!!」
土方が大声を出して修羅につっこむ。
修羅は「でも実際見た人で再び起き上がった人間はいませんよ。」と言った。
「その人間って言い方やめてくんない?!」
「いけませんか。」
修羅はその直後、ふらりと視線を何もない場所へ移した。
「つーか、ホント何この子。」
「歪んだ思春期でも迎えてるんでさァ。ったくガキが。」
「おめぇの言えたことかそれェェ!!」
土方がつっこむと、銀時は舌打ちして立ち上がった。
「…銀さん?」
「アホらしくてしゃーねェや。オイ。てめーら帰るぞ。」
「銀さん…
修羅さんの手持っちゃてますよ。」
そう言う新八に「は?」と言いつつも左手を見ると、丁度其処に居た修羅の手が握られていた。
オイオイオイフラグ立ったらどうしてくれるコノヤロー。(立ちません)
「他人との区別がつかなくなるほど幽霊が怖いですか。」
修羅は特に気にする様子もなくもう片方の手で茶を啜った。
「はぁ?!んなわけあるかちょっと間違えただけだ。」
「大体手を握ることからおかしいです。」
「ああ?これはこいつらが恐いだろーと気ィつかってやったんだろうが。」
銀時がごまかすように言うと、即神楽に拒否された。
なんかかわいそっ。
沖田はそんな銀時を見てにやりと笑うとどこかに指を差して
「あっ赤い着物の女!!」
と叫んだ。
と同時に銀時は押し入れに飛び込んでいた。
オイオイ人のうちの押し入れだぞそれェ。(そこかよ!!)
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