盤上破乱
第陸頁
「おいトシ。そろそろ降ろしてやれよ。いい加減にしないと二人そろってSに目覚めるぞ。」
近藤がこれ以上は…といった感じで土方に言う。
土方は煙を噴きながら
「何言ってるんだ。修羅はともかく総悟はサディスティック星からやって来た王子だぞ。もう手遅れだ。」
と希望もへったくれもない言葉を放った。
吊されていた木の下には三本の縄が力なく垂れていた。
あれだ。擬人法です。(伝えんでよろし)
折り重なっている体の中で神楽が気持ち悪いと言う。
こっちまで気持ちが悪くなってきそうである。
外側鬼と言われていて芯は甘い甘い土方は助けておきながら
「本来ならてめーらみんな叩き斬ってやるとこだが生憎てめーらみてーのに関わってる程今ぁ俺達も暇じゃねーんだ。消えろや。」
と冷たいことを言う。
全くツンデレだな。
銀時は少し冷や汗を垂らしている土方の方を見てニヤリと笑った。
「あー幽霊恐くてもう何も手につかねーってか。」
「かわいそーアルな。トイレ一緒についていってあげようか?」
神楽まで調子づいてきた。
そんな神楽に近藤さんが目をかっ開いて叫ぶ。
「武士を愚弄するかァァ!!トイレの前までお願いしますチャイナさん。」
「お願いすんのかィィ!」
土方がつっこむ。
近藤は神楽を引き連れてトイレへと向かった。
「本当に真選組なめられますね。」
「ざけんな。おいてめーら頼むからこの事は他言しねーでくれ。頭さげっから。」
「土方副長先輩が頭下げるとは見物ですね。」
「てめーには下げねぇよ一生。」
土方は修羅に言うと、「情けない。」と言葉を漏らした。
どうやら幽霊がいると思っているらしい。
それを見て銀時は腕を押さえながら叫びだした。
「え?何?お宅幽霊なんて信じてるの。痛い痛い痛い痛い痛いよ〜お母さ〜ん。ここに頭怪我した人がいるよ〜!」
「お前何時か殺してやるからな。」
ウゼーななんか。
沖田は土方の方を向いて聞く。
「まさか土方さんも見たんですかィ?赤い着物の女。」
すると、土方は冷や汗を垂らしながら昨晩のことを思い返す。
「わからねェ…だが妙なモンの気配は感じた。ありゃ多分人間じゃねェ。」
「では土方副長先輩死にますか。」
「なんでだよ!!」
「妖とか幽霊とか見ると死ぬと言いますからね。特に夜など。」
軽く言う修羅に土方は正直戸惑った。
根は恐がりだからね。
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