盤上破乱
第参頁
道を歩く中、桜の花びらが風に舞っていた。
圭が額に手を垂直に当てて
「やっぱ江戸の桜はええなぁ!」
と喚起していた。
修羅は言葉を切らした。
亮翼が空中に漂っていた花弁を一枚つかんだ。
「そういえば近藤局長がいないな。」
そう言うと、花弁をフッと離した。
「近藤さん?さっきまではいたのにのぉ…。何処行ったのやろ。」
辺りを見わたすと大きな桜の下で近藤が血と共に舞っていた。
…というのは格好良すぎる言い方で、はっきり言ってしまえばゴリラがぶっ飛ばされていた。
「…いましたよ。」
修羅がぽつりと言った。
______面倒なので少々中略(いつか書き足します。)
「修羅。」
「なんですか沖田隊長先輩。」
視線を向けずに修羅は返事をした。
「生意気なガキでぃ。」
「同じ年齢のはずですが。」
沖田が「ああ。そう言えばそうでしたねぃ。」と言っておもむろに酒の入った杯を差し出した。
叩いて被ってじゃんけんぽんはまだ始まっていない。
沖田と修羅の空気の中に亮翼があわてて入った。
「隊長!!修羅はまだ未成年かと…。」
亮翼は心の中で(隊長もですけど)と付け加えた。
沖田は大げさに溜息をついて
「じゃあ俺の命令で…ってことにすりゃあいいだろぃ?」
「すごい権力の使い方ですね。さすがは沖田隊長先輩。」
修羅が桜の木に寄りかかったまま言う。
しかしちゃっかり杯は受け取ってしまっているのだ。
「なんでぃ。飲むんですかぃ。」
「誰も飲まないとは言っておりません。」
そう言うと、修羅は杯を傾けた。
とても慣れた手つきだった。
修羅を包む空気はこの世とは思えないほどに不思議だった。
なにとも言えなかった。
しばらくたった後、妙と近藤が勝負するという事を感じ、三人は我に返った。
修羅はもう観覧席の方へ目を向けていた。
勘の良い亮翼はそっと
「近藤さん殺されないかな…。」
と言ったが誰も気づかなかった。
「なんか文句あんのかコルァ?」
妙と近藤の試合は恐い空気で幕を閉じた。
「…恐い姉ちゃんやなぁ;;」
圭はそうつぶやいた。
その頃にはもう沖田は立ち上がり、その場を去っていた。
「修羅。あれ…。」
亮翼が指している方向では沖田と神楽が大乱闘を繰り広げていた。
そして眼鏡をかけている少年は
「だからルール守れって言ってるだろうがぁぁ!!」
と嘆いていた。
何だか年下でも可哀そうに思えてくる風景だった。
その前に名前を知らない時点で可哀そうだが。
圭は耐え切れなくなったのか立ち上がって眼鏡の少年こと新八のもとへ駆け寄った。
「お前は試合せぇへんのか?」
「え。まぁ…したいですけれども…;;」
情況的に…
と新八はうなだれた。
「なら修羅とやらへん?」
圭のいきなりの発言に新八はええ?!といった。
「あいつ花見の楽しみをしらんのや。いっちょやってくれへん?こっちも楽しいし。」
「明らか後者の理由のほうが本当なのでは?」
新八が苦笑いをして見せた。
「よろしくお願いします。」
修羅がいつのまにか新八の傍にいた。
「え…ええ。ちょうど銀さんたちも終わったようですし。」
もうグデングデンに潰れている我らが上司を見ながら新八はため息をついた。
「では、その勝負も結局何だったのか分からなかったので次行きます。えーと…新八君?と修羅です。」
じゃんけんをすると、見事に修羅が勝ったと認識した瞬間にハンマーで思いっきり殴ったため新八はノックアウトした。
顔がもう変形している。
瞬殺とはまさにこのこと…ってか大丈夫か新八。
「死んでますか。」
「「「「「「「「生きていることを確認しろぉぉ!!」」」」」」」」
修羅らしいやり方に改めて恐怖を覚えた一行だった。
…こんなんでいのかコレ。
「さてと…土方副長先輩も死んでおりますか。」
「…上等だぁ。」
土方はもう修羅が何を言っているのかさえも分からないようだ。
さっきから同じことを言っている。
修羅は溜息をついて落ちている銀時と土方の襟首をつかみあげ、引きずりながら
「捨ててきます。」
と言って何処かへ持って行った。
やはり修羅は恐い。
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