盤上破乱
第伍頁
笑っていた。
無表情の修羅にとってこれ以上ないというほどに
「ちっ。」
斬られてもたったまま動かない修羅に舌打ちをして高杉は姿を消した。
その時はもう
真選組と大量の攘夷志士だった塊がただ在っただけだった。
.
「修羅!!」
視界ががら空きになり、圭は修羅を見つけた。
修羅は顔を上げた。
亮翼もいる。
万斉は去ったようで、とりあえずは無事なようだ。
土方と沖田は可愛く言えばじゃれ合っていて、恐く言えば暴言は来ながら殺し合っている。
近藤さんは周りの怪我をした隊士達を自分も怪我をしているのに手当をしている。
「修羅!!どうしたんやぁその切り傷。」
圭は起こった事が分からず、驚いていた。
正直修羅の血を見たことはあまりない。
「あの…。」
亮翼が言いにくそうに間をおいて
「ありがとな。刀、投げてくれてよ。助かった。…で、ごめん。」
亮翼は一番謝りたくなかった人物に頭を下げた。
修羅は亮翼の横を音もなく通り過ぎて刀を拾った。
切り傷からは血が大量に出ていて床はもう紅々としているのにその上にまた鮮血が落ちる。
修羅は平気な様子だが…;
「手が滑ったので。謝ることなど在りません。」
そう言った。
修羅という男は
そんな人間だった。
「せやな!!ほら、亮翼も顔を上げな!!」
圭が亮翼の肩を叩いた。
土方が一応沖田とおさまって、修羅の所へきた。
「早く怪我治してこい。現場がこれ以上血だらけになったら検証しにくくなる。」
「その前にもう検証する気も失せる現場状態でさぁ。土方さんそんなに言わずとも心配しているのが丸見えでさぁ。」
「沖田てめぇは一生此処にいろ。」
「土方さんが死んでくれれば考えまさぁ。」
「…てめぇが死ね。っつーかなんで毎回俺よりも二倍くらい大きい文字なんだよ。」
「俺のほうが土方なんかよりも二倍三倍は存在感あるんでさぁ。ということで副長の座ぁ渡せ。」
二人の喧嘩はこれ以上書くの面倒なので修羅のところに視点変えよう。
「修羅。お前やさしい奴だな!!」
圭が包帯を渡しながら言う。
「だから手が滑ったと。」
修羅は完全に否定した。
.
次の日は宴会だった。
手柄だった修羅は宴会の席から外れ、一人盃を持っていた。
酒はまだ入っている。
ふと、空を見ると
「そういえば。」
二人あの日交わした約束
もし
殺し合うなら
せいぜい死なないようお願い致します
なんてね。
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