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盤上破乱
第壱頁





 真選組屯所 一番隊修羅・圭の部屋にて


「おはようございます。」


 部屋の中で一人の少年が布団の中で眠っている一人の少年の横で正座をしながら言った。


 声をかけている少年は紅黒い髪を右頬だけ完全にかぶせ、後ろは肩に当たるか当たらないかの所でばっさり切られている。


布団の中で眠っている少年は眉をひそめて寝ぼけながら意識をふらつかせる。


(ん?)


(なんや。)


「あの。…聞いてますか。」


少年はもう一度言う。


「…?!」


布団で眠っていた少年…圭は座っていた少年…修羅の静かな(にしては冷たい)声で目が覚めた。


圭の髪は寝起きだからなのかボサボサだが、きちんと後ろで固く結ばれていた。  


「…よぉ。」


 光の差さない深い紅黒い瞳に口元をひくつかせて挨拶する。


「おはようございます。今ので起きなかったら氷水かけるところでした。」


真顔でそんなことを言う修羅は恐ろしいものの、全くもって修羅らしかった。


「そんな冗談よし「まさか。冗談なんて。」


 修羅の無表情の即答に、圭は苦笑いするのみだった。


存在感のない修羅の横には確かに冷たいオーラ漂わせるバケツが置いてある。 


まったく修羅はそういう人間なのである。


「今日が会議の日だということを忘れましたか。とうとう頭がよわk「なんや今日は何時もより言い方が酷いやな。」


会議室らしき間に行くと、近藤が横に数人の見知らぬ隊士を座らせてにこにこ顔で座っていた。


そういえば…で、思い出されることであるが。


今日は新人隊士が真選組に入って来る日だった。


 修羅はまぁ、可愛く言ってしまえば極度の人見知りであるため、新人隊士とはかけ離れた所に存在感なく座っていた。


 圭は楽しそうな目で新人隊士を見ていた。


 全くと言っていいほど不釣り合いな二人だが…


「沖田隊長先輩は。」


「そういえばおらへんなぁ…;」


 隊長とあろうものがいないことのほうが不釣り合いである。


「ったく…総悟は何所行って「死ねぇえ!!土方ぁあああ!!」


 噂をすれば影。


 バズーカの弾丸とともにやってきた。


 新人隊士にとっては派手な登場であるが、在隊隊士にしたら日常茶飯事である。


 よって沖田死ね。(なんでそうなる!!←なんかもう話の筋見えなくなって…←←いや…関係ないんじゃ…;)


「沖田隊長先輩相変わらず派手に登場ですね。目立ちたがり屋ですか。」


 数センチ近ければ一緒に大破していたであろう修羅が何事もなかったような無表情さで沖田に言う。


 すぐ横では壁が崩れる寸前である。


 修羅に何もなかったのが面白くなかったのか沖田は舌打ちをしてその場に座った。


「…じゃあ。はじめるか!!」








 というハイテンションの近藤の一言も


「何を。」


 という修羅の一言によってまた沈黙の渦へと巻き込む。


 しばらくして土方がため息をついて沈黙を破った。


「新入隊士歓迎会…ってやつだろ?」


「ああ!!入ってすぐ何かしろといってもわからないし不安そうだからな!!」


(…小学校?)


 などと圭は心の中でつっこんだ。(分かる人には分るさ。きっと。)






























 


「端から自己紹介といこうか!!とりあえず!!」


 元気よく言うと数人の新入隊士が立って、一人ずつ紹介が入る。


 まぁ、面倒なので表記はしない。(おい;)










「で、一番隊新隊士はあんたですかぃ。」


 沖田がにやにやしながら目つきの鋭い少年を見た。


 14歳程の若い隊士だった。


「お前は修羅・圭と一緒の部屋でさぁ。」


 沖田はそう言うと、修羅・圭を指差した。


 圭はにっこりして迎え入れ態勢抜群だが、修羅は何も言わず、表情もそのままだった。


「…よろしくおねがいします…。」


 恐る恐る頭を下げる。


 そんなこんなで亮翼という新人隊士の生活は幕を開けた。



 たぶん。(はぃ?)


























.





「ええっと…。」


 明らか二人の人間の気配しかしない部屋ですっかり固まった亮翼が正座をして頭をかく。


「ええやん。ええやん。そんなぁ。俺ら同年齢なんやし。」


 圭は陽気に笑った。


 圭がどこか近藤に似てきていると思うのは作者だけだろうか。


「え?そうなんすか?!じ・・・じゃあ・・・あの人も?」


 おびえた声で亮翼は書類を整理している修羅を見ながら言った。


「ああ。修羅やな。あいつは俺らより二つ三つは年上やなぁ…。」


 圭は笑いながら言った。


 修羅は反応する様子もない。


 それを見て圭は無愛想な人だと眉をひそめた。


 部屋に一風吹くと、沖田が襖を勝手に開けて部屋に入ってきた。


「修羅。圭。亮翼。仕事でさぁ。あ。慣れさせるために他の新人隊士も道連れでさぁ。」


 亮翼は「道連れ」という言葉に引っかかったようだが、圭は慣れているのか口元を上げて


「…仕事?なんや。久しぶりやな。」


 と言った。


 同時に顔が少し引き締まる。


 亮翼は可愛くも何のことだかさっぱりわからず首をかしげた。(可愛い?←作者の陰謀です。)


 修羅は聞いているのか聞いていないのか整理する手を止めない。(いつものことだけど。←え?)


 そんな修羅に沖田は刀の刃を当てた。


 何時もの


 さぼる 


 気配がない。


 という不思議も感じて、修羅はやれやれと沖田の方へ向き直った。


「仕事といいますと。」


 表情は変わらず座り直して修羅は言った。


「まぁ俺がはっていたヤマなんですがねぃ。鬼平隊の下の奴らが集まっている所を山崎が突き止めたらしいんでぃ。」


 修羅はおそれも感じずつっこむ。


「…今沖田隊長先輩のヤマと言いましたのに山崎監査長先輩が突き止めたのですか。」


「いいじゃねぇですかぃ。」


 沖田は其処に置いてあったお茶を啜った。


「それ。僕のなのですが。」


「いいんでさぁ。(此処でBLの考えは控えて!!←考えてるのてめぇだけだろ)あと一時間で行きやすから刀でもなんでも研いでなせぇ。亮翼。」


 いきなり呼ばれて(それとか朝のこともあって)亮翼はびくついた。


「せいぜい・・・覚悟しねぇと























             死にますぜぃ。」


 黒い笑みを浮かべ、そのまま沖田は部屋を出た。


 沈黙の空気が部屋を充満させる。


 修羅は立ち上がると、書類の束を持ち上げて部屋を出て行った。



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