こんな話がある。 「お前は何故魔王の髪がみどり色なのか知っているか」 瞳を閉じて男はそう紡いだ。ううん、むかいの少女は首を横に振る。ううん知らない、意味なんかあるの?男は続ける。こんな噺がある。 「窓がない部屋がある。そこは壁も天井もドアも、椅子も机もベッドもトイレも風呂も何もかもが緑色をしている。鏡はないがナイフがある、柄はみどり。与えられた服もみどり。自分の体以外は全部みどり」 「うん」 「食事は与えられる。風呂は決められた時間だけ。トイレは自由。だが何もないから寝るくらいしかすることはない」 「囚人みたいなもの?」 「いや、もっとたちがわるい」 瞳を閉じた男はそう紡いだ。なんで、むかいの少女は首を傾げる。なんで悪いの、自由に動けるんでしょ?男は続ける。こんないわれがある。 「全てが緑色なのが問題だ。ただでさえ異常な空間なのに、みどりだけの部屋に居続けると、人は反対の色を見たくなるらしい」 「反対?」 「緑色の色相の対になる色を知っているか」 「ううん、なに?」 「赤」 瞳を閉ざした男はそう紡いだ。あか、むかいの少女は首を下げる。あかが見たいと、どうなるの?男は続ける。こんな方法がある。 「どうしてその部屋に、武器となるものが置いてあったのか、そのときはじめて知ることになる。すぐそこにあるじゃないか、赤いものを出す機関」 「うん」 「赤い色が見たくなった人間は、自傷をはじめる」 「……うん」 「気が狂うから自傷するのか、自傷して気が狂うのか定かではないが」 瞳を○○○た男はそう紡いだ。もういいよ、少女は首を振った。もういいよ君は、だから光を?男は続けた。こんな逃げ道がある。 「だがしかしせめて気がふれる前に目を潰せば、狂うことだけは避けられる」 「……けど」 「そのくらいの勢いで、緑色は赤を誘発するんだ」 「………うん」 「つまり」 瞳をえぐった男はこう締めた。 こんな可能性がある。つまり魔王のあの髪色は狂気の誘発だ。と。 .翠の部屋で気が触れる. ← −−−−−−−− って聞いたんだけど本当なのかなぁ!! 本当だったら超おいしいのに!! (緑だけの部屋に閉じ込めると人間は3日で自傷をはじめるという話を聞いたのだよ) |