魔導学校にて2




.続 魔導学校にて.




「なぁ、こないだの本…って、あれ、」

魔導力による認証、それに伴う封印という施錠を解除して、カミュが校長室を訪ねると、目当ての彼はそこのソファで穏やかに寝息をたてていた。

「……またこんなところで…」

言いながら彼のその不必要ともとれる長い睫毛が緩やかに青水晶を覆うのを、どこか別の次元から眺めているような感覚で見る。薄い唇。長身な筈なのにどこかに華奢を匂わせる体躯は骨ばっているからか。それとも。

浮かんだ鎖骨にうがんだ痕。

そういえば、と視線を移す。
彼は首に傷痕がある。横に一本輪をかいてうっすらと。
割かしどんな傷もその脅威の再生能力で無かったことにしてしまう彼にも消せなかったその傷は、なんでも昔後輩のあの子が飛ばした時のものらしい。
昔からとんでもない子だと思ってはいたがそれは今になっても相変わらずだ。


「ふふっ」
「……ん…?」

どこか懐かしくてくすりと漏らしたら目の前の彼が眉をしかめたから慌てて押し黙る。
ついでに彼が身じろぎしたときに手から落ち掛けた本も回収しておく。

起こすか起こすまいか一瞬だけ迷って、ソファで寝るほど疲れていたのだろうと判断して起こすのはやめた。
大体にして彼は睡眠とかとっているのかが謎だ。寝ている時ぐらい寝かせておこう。

それで小さく周りを見渡して、使えそうな物がなかったから自分のマントをとりあえずかけてやった。

しばしの沈黙。

しかし確かに、後輩の言うとおり。減らず口を叩かずに黙っていれば悪くない彼を見送って、ため息をひとつ。
そしてすぐに立ち上がる。

そろそろ授業が終わるだろう。自分を熱烈に慕う後輩が飛び込んできて彼を起こしてしまうのも悪いし、早々に移動しようと思った。
それに、校長が戻ってきた時に寝ている彼とふたりきりだったと知れたらそれこそ自身の身が危ないし。というか、あの校長とふたりきりで顔をあわすなどまっぴらごめんだ。




よくもまぁ彼はあの校長に牙を剥くことが出来る。後輩のあの子もそうだが。とりあえず触らぬ魔王に祟りはないのでそれはそれとしておく。

そう決めて、触ろうと触らなかろうと台風を運んできてくれるもうひとりの後輩の襲来に備えて、カミュは校長室を後にした。



学校内にチャイムが鳴り響く。

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カミュ支援(笑)
サタカミュシェはぁはぁ。
ララカミュアルはぁはぁ。
魔導学校面子がはぁはぁでたまらない。
ルルーがでてこないおのれぇぇ…!!←←




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