それは、戦いにおける何人たりとも侵すことが出来ない絶対の領域であり、審判であり。 ルールである。 肩にかかった髪を弾く。サラリと、流れるような動作でその艶やかな新緑の髪を払ったサタンが、血の色をした鋭い眼光を目の前の敵に向ける。 向かいに立つレムレスはその視線を受けることはせずに閉じた瞼で柔らかく流し、しかし油断はせずに箒を握り締めて戦意を示す。 先に動いたのはサタンだった。 「基本ルールはノーマル、フィーバーあり、基レート70、マージン120だ、質問は?」 それは、現状この場においてサタンが優位にたっている証拠。発せられた言の葉は互いのとるべき行動を制限する。 それにレムレスはひとつ、間を置いて視線を横に向けた。 「ジャッジは?」 彼が向けた視線の先にはふたりいた。 こちらを見て息を飲む魔導師を目指す少女と、その隣でつまらなそうに腰を下ろして視線を向ける闇の魔導師。 念のためジャッジはどちらがするか聞いたが、結果は明らかだ。 あの無精で面倒くさがりの闇の魔導師が、隣に誰かがいる状況で進んでジャッジをするとは思えない。 「アルル」 「わかりました」 案の定返ってきた名前にレムレスは頷き、そして互いに一定の距離をとる。 定められた順序で印を結べば、二人の周囲に見慣れた結界にも似たフィールドが現れた。絶対の領域である。 その様子を見送って、ジャッジを受けたアルルが高々と右手を上げ、宣言する。 「じゃあ行くよ?えーと、相殺ならびにフィーバーあり、4個消し、おじゃまふつう、以上のルールで……なんだっけ?」 一瞬止まって小さな声で隣に視線を泳がせる。隣の魔導師は面倒くさそうにも律儀に言葉を繋いでやった。それがルールだから。 「アルルの公平な審判の元に」 「あ、そっか、ごめん…、ボクの公平な審判の元に、サタン対レムレスの試合を開始いたします!!さん、にぃ、いち!!」 ぱふ。 子供向けのラッパを鳴らしたような音と共に、極めて真面目に、そして極めて平和な戦いが始まった。 「………なんだかな」 そんな様子を何処か納得がいかなそうに、闇の魔導師、シェゾは見送って、いた。 それが世界のきまりだから。 (………結局は、遊びだろ?) .アルルたちが本気でぷよぷよをしてみました. −−−−−−−− ← −−−−−−−− 日記ログ 以前友人に「この人たち本気でぷよぷよしてるの?」という衝撃的意見を言われたので試しに出来る限り大真面目に格好つけてぷよバトルをさせてみた。 しかし「勝負だ!!」→「ぷよぷよだ!!」→「連鎖だ!!」→「おじゃまぷよだ!!」とかいう流れを彼らが本気でやっていたのなら実際かなり間抜けなことになりませんか。 シグvs怪様とか命かけてそうな場面の戦いで、中身はぷよぷよバトルお邪魔に埋もれて「なにをする〜」とかなんか違わないですか主に緊張感の面で。 なんて、へいわてきな、せかい!! フィーバーってそういう世界観なのでしょうか。だが魔導キャラはものによっては(SSとかわくぷよ)普通の戦いもしてるのでひとえには言い切れない。 ていうか、うん、深く考えちゃいけませんか。そうですよね。 ゲーム上の性質ですしね。 |