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■恋のススメ



■■

学校へ行って,まず最初に紺野がする事。


『・・・遅刻しますよ』

俺(志乃)は下駄箱の前で立ち尽くす連れ(紺野)に今日もまた,声を掛ける。


『・・・・・』

真剣な眼差しで彼が見つめるのは,他でもない榮執のロッカーである。そして,握り締めるのは白い封筒にハートのマーク。

これは決して,不幸の手紙や果たし状な等ではなく,歴とした恋文である。


『紺野』

毎日のように想いを綴っては下駄箱に投函するのが紺野の日課で,一日で一番厄介な時間でもある。

予鈴が,響く。

それでも,紺野は動こうとはせずに下駄箱に視線を向けたままだ。

きっと,チャイムの音など聞こえていないのだろう。彼は今,恋文を下駄箱に入れることに全神経を注いでいるのだから。


遅刻必須の長い,長い一日が始まった。







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